講演情報
[22-O-L007-01]QOLへの挑戦3rd局所筋振動拡大手技を併用した可動域訓練の応用
*稲村 眞二 (神奈川県 医療法人社団 孝和会 介護老人保健施設 能見台パートリア)
【はじめに】麻痺を有する利用者様で、痙性の影響から関節の可動制限を呈する場合がある。今回、リハ職の可動域訓練手技を応用し、看護・介護職へポジショニング方法を指導。実施前後で利用者様の可動域をデータ化、比較・検討し探究的に研究、負担軽減となった内容を報告する。
【目的】入所のケアで、痙性から肩関節外転制限のある腋窩へクッション挿入をすることがある。そこで、ポジショニングによる骨折や皮膚トラブルを予防するため、理学療法士が実施する「局所筋振動拡大手技を併用した可動域訓練」の方法を、看護・介護職へ指導し応用。アプローチが、利用者様の苦痛軽減や職員の負担軽減となった内容を共有・報告する。
【実施期間・個人情報】R8年4月1日~5月30日 個人情報保護規定に基づき利用者様の同意は得られている。
【症例紹介】
症例① 91歳 女性 大脳皮質基底核変性症 要介護5 ADLベッド上臥床四肢屈曲肢位
症例② 63歳 男性 左被殻出血 要介護3 ADL車椅子上患側上肢屈曲肢位
【指導内容】理学療法士が実施する局所筋振動を併用した可動域拡大手技を基に、看護・介護職へポジショニングを実演指導。事前説明について、疼痛や不快時の中止基準を安全確認チャートで説明。その後、体位の取り方、支持ポイント、振動方法および時間(肩関節遠位部へ5秒振動を与え、次に休息1秒その後に4秒間外転を愛護的に実施)を実演指導。
【測定方法症】例①はベッド上背臥位、症例②については車椅子座位の各状態でポジショニング、指導前後で、ゴニオメーターで肩関節外転角度を測定。
【結果】以下平均±標準偏差(中央値)と示す・被検者参加数16名
症例① 介入前 8.8度±2.2(10度) 介入後 28.8度±3.3(30度)
症例② 介入前 14.4度±3.0(15度) 介入後 33.1度±4.3(30度)
局所筋振動を併用した可動域拡大手技を実施した後、 20cm×40cm×7cmの腋窩用クッション挿入が容易となった。
両症例共に可動域拡大に有意性が認められた。
•棄却検定:Grubbs-Smirnov棄却検定による外れ値棄却
•検定と有意水準:ノンパラメトリックWilcoxonの符号付順位和検定(有意水準5%)実施
【考察】脳卒中発症後、肩関節は痙性等から可動域が制限されやすく、誤ったポジショニングや拘縮から骨折や皮膚トラブルのリスクを増大させることがある。理学療法士は局所筋振動を併用した可動域拡大手技を用いて、筋緊張を一時的に緩和し可動域を拡大する。しかし、介護現場では拡大した可動域の維持が限定的となることもある。そこで、今回看護・介護職へ局所筋振動を併用した可動域拡大手技を実演指導した。金子 唯史1)は方法のメカニズムを以下のように解説する。ゴルジ腱器官は、筋腱移行部に存在する感覚受容器であり、筋張力を感知して脊髄への信号(Ib線維)を介した抑制性フィードバックを発生させる。脳卒中後の痙縮管理等(いわゆる筋緊張を緩ませること)、リハビリテーション臨床の場面で応用されると言っている。またアナス・R・アラシュラム2)らは、268名の脳卒中後患者に対し、局所筋振動刺激訓練実施後に可動域拡大の効果を報告している。
今回探究的研究ではあるが、実演指導の試み前後で肩関節外転の可動域拡大結果を比較し、看護・介護職の負担軽減効果について検討した。結果から、2症例の利用者様に対し被検者となる職員16名が参加、指導後の結果はすべての職員で肩関節外転可動域が拡大された。結果からも統計的に実施後の変化について有意性が示された。利用者様の肩関節外転可動域拡大が得られたことは、腋窩クッション挿入の安全なポジショニングが、10秒で可能となった。つまり上記のことは利用者様の負担軽減となる成果と考える。拡大された可動域維持・進行抑制、また外傷リスク低下は一時的も、ポジショニングに伴う利用者様の苦痛の軽減や更衣等の介護手技にも応用期待あり、看護・介護職のQOL向上につながる結果となった。
【結論】
1 看護・介護職へ局所筋振動を併用した可動域拡大手技を指導した
2 局所振動刺激は肩関節を拡大し統計的にも有意性が示された
3 介護現場で拘縮進行抑制と外傷リスク低下の可能性が得られた
4 利用者様や介護側職員双方のQOL向上が得られる結果となった
【おわりに】利用者様の苦痛軽減と介護力軽減につながり、QOL向上が得られたこと。それは老健の基本となる多職種連携がもたらすものと考える。今後も基本を大切にしながら、役立ち期待できる具体策へ挑戦を続けたい。
【参考文献】
1)金子 唯史:ゴルジ腱器官(GTO)とIb抑制を完全解説!効果的リハビリアプローチ、メカニズムと実践法を解説2026 ニューロリハビリ研究所
2)Anas R Alashram:Effectiveness of focal muscle vibr/ation on hemiplegic upper extremity spasticity in individuals with stroke: A systematic reviewNeuroRehabilitation. 2019 Dec 18;45(4):471481. doi:10.3233/NRE-192863.
【目的】入所のケアで、痙性から肩関節外転制限のある腋窩へクッション挿入をすることがある。そこで、ポジショニングによる骨折や皮膚トラブルを予防するため、理学療法士が実施する「局所筋振動拡大手技を併用した可動域訓練」の方法を、看護・介護職へ指導し応用。アプローチが、利用者様の苦痛軽減や職員の負担軽減となった内容を共有・報告する。
【実施期間・個人情報】R8年4月1日~5月30日 個人情報保護規定に基づき利用者様の同意は得られている。
【症例紹介】
症例① 91歳 女性 大脳皮質基底核変性症 要介護5 ADLベッド上臥床四肢屈曲肢位
症例② 63歳 男性 左被殻出血 要介護3 ADL車椅子上患側上肢屈曲肢位
【指導内容】理学療法士が実施する局所筋振動を併用した可動域拡大手技を基に、看護・介護職へポジショニングを実演指導。事前説明について、疼痛や不快時の中止基準を安全確認チャートで説明。その後、体位の取り方、支持ポイント、振動方法および時間(肩関節遠位部へ5秒振動を与え、次に休息1秒その後に4秒間外転を愛護的に実施)を実演指導。
【測定方法症】例①はベッド上背臥位、症例②については車椅子座位の各状態でポジショニング、指導前後で、ゴニオメーターで肩関節外転角度を測定。
【結果】以下平均±標準偏差(中央値)と示す・被検者参加数16名
症例① 介入前 8.8度±2.2(10度) 介入後 28.8度±3.3(30度)
症例② 介入前 14.4度±3.0(15度) 介入後 33.1度±4.3(30度)
局所筋振動を併用した可動域拡大手技を実施した後、 20cm×40cm×7cmの腋窩用クッション挿入が容易となった。
両症例共に可動域拡大に有意性が認められた。
•棄却検定:Grubbs-Smirnov棄却検定による外れ値棄却
•検定と有意水準:ノンパラメトリックWilcoxonの符号付順位和検定(有意水準5%)実施
【考察】脳卒中発症後、肩関節は痙性等から可動域が制限されやすく、誤ったポジショニングや拘縮から骨折や皮膚トラブルのリスクを増大させることがある。理学療法士は局所筋振動を併用した可動域拡大手技を用いて、筋緊張を一時的に緩和し可動域を拡大する。しかし、介護現場では拡大した可動域の維持が限定的となることもある。そこで、今回看護・介護職へ局所筋振動を併用した可動域拡大手技を実演指導した。金子 唯史1)は方法のメカニズムを以下のように解説する。ゴルジ腱器官は、筋腱移行部に存在する感覚受容器であり、筋張力を感知して脊髄への信号(Ib線維)を介した抑制性フィードバックを発生させる。脳卒中後の痙縮管理等(いわゆる筋緊張を緩ませること)、リハビリテーション臨床の場面で応用されると言っている。またアナス・R・アラシュラム2)らは、268名の脳卒中後患者に対し、局所筋振動刺激訓練実施後に可動域拡大の効果を報告している。
今回探究的研究ではあるが、実演指導の試み前後で肩関節外転の可動域拡大結果を比較し、看護・介護職の負担軽減効果について検討した。結果から、2症例の利用者様に対し被検者となる職員16名が参加、指導後の結果はすべての職員で肩関節外転可動域が拡大された。結果からも統計的に実施後の変化について有意性が示された。利用者様の肩関節外転可動域拡大が得られたことは、腋窩クッション挿入の安全なポジショニングが、10秒で可能となった。つまり上記のことは利用者様の負担軽減となる成果と考える。拡大された可動域維持・進行抑制、また外傷リスク低下は一時的も、ポジショニングに伴う利用者様の苦痛の軽減や更衣等の介護手技にも応用期待あり、看護・介護職のQOL向上につながる結果となった。
【結論】
1 看護・介護職へ局所筋振動を併用した可動域拡大手技を指導した
2 局所振動刺激は肩関節を拡大し統計的にも有意性が示された
3 介護現場で拘縮進行抑制と外傷リスク低下の可能性が得られた
4 利用者様や介護側職員双方のQOL向上が得られる結果となった
【おわりに】利用者様の苦痛軽減と介護力軽減につながり、QOL向上が得られたこと。それは老健の基本となる多職種連携がもたらすものと考える。今後も基本を大切にしながら、役立ち期待できる具体策へ挑戦を続けたい。
【参考文献】
1)金子 唯史:ゴルジ腱器官(GTO)とIb抑制を完全解説!効果的リハビリアプローチ、メカニズムと実践法を解説2026 ニューロリハビリ研究所
2)Anas R Alashram:Effectiveness of focal muscle vibr/ation on hemiplegic upper extremity spasticity in individuals with stroke: A systematic reviewNeuroRehabilitation. 2019 Dec 18;45(4):471481. doi:10.3233/NRE-192863.
