講演情報

[22-P-R001-05]ケアマフを知っていますか?多職種で糸をつむぐ協働実践

*野口 真由美1、関川 洋子2、髙橋 典子3、石川 玄子1 (栃木県 1. 介護老人保健施設陽南、2. 医療法人報徳会宇都宮病院、3. 地域活動支援センターうつのみや)
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【背景】
認知症では、点滴抜去や周辺症状に対して、ミトンを緊急やむを得ず使用することがあるが、看護師としてはできる限り使用を避けたいという思いがある一方、安全確保のために使用せざるを得ないというジレンマを抱えていた。ミトンは手の動きを抑制することになり、一時的だとしても、良いケアとは言い難い。ケアマフは、カラフルで柔らかな毛糸で編まれ、リボンやボタンなど様々な装飾に触れながら楽しめる。手を自然に動かしたくなる工夫が施され、温もりや安心感を与えるだけでなく、利用者とのコミュニケーションのきっかけにもなり得る。身体拘束ゼロを目指して、私たちにもできる具体的代替案が必要で、まさに期待する手技に出会えた。
【⽬的】
身体拘束ゼロを実施するために、看護・介護が他職種と学び、あらゆる視点で身体拘束を検討する。また、地域連携を実践するために、法人内の看護師、相談員、他施設の利用者とケアマフを通じて、連携の糸を紡ぐ。
【実践内容・⽅法】
作成チームは、A法⼈内のB介護⽼⼈保健施設、C病院(看護師2名)、D地域包括⽀援センター、D地域生活支援センター、E法人医師で健闘した。C病院倫理委員会の承認を得て、対象者および家族に対し匿名化の徹底と大会発表の主旨を書⾯で説明し同意を得た。
⑴名前について、本来、イギリスではTwiddle Muff と呼ばれており、広く利用を考えていたため、まず、ネーミングを検討した。認知症マフではなく、『使う人も作る人もお互いに心を通わせ、癒される関係を期待して』皆で投票し、A法人では”ケアマフ”と名付けた。
⑵病院、地域活動支援センターに声をかけ、使わなくなった毛糸集めから、始めた。中々、趣旨が通じず、毛糸集めにも時間がかかったが、高齢者は昔編んだセーターや、使い残しの毛糸などを提供してくれた。毛糸を地域生活支援センターに集め、利用者の方と、毛糸を解く作業から開始した。障がい者の方たちと、毛糸解き、鍋でお湯につけてうねりをとる。懐かしい毛糸をかせにしたり、糸巻をすることで、障がい者の方たちも楽しく作業ができた。
⑶マフ作成は、編み物が得意な職員が、Twiddle Muff 活用ケアガイドを読み、作成した。かわいいアップリケなどは利用者様が選び、作成。デイサービスにもプレゼントした。
【結果】
法人内の老健、病院、地域包括支援センター、地域活動支援センターなど、他部署にも働きかけ、A法人ケアマフを作り上げることができた。日頃、関係がほぼない他施設の他職種の職員と協働し、利用者様を巻き込んで、毛糸を再生する、ケアマフを作る、使って頂くこと、糸を紡いで、地域ケアシステムが一つできた。ケアマフの出来上がりは、夏になってしまったが、利用者からはクーラーで冷えるので、ちょうど良いとの感想をいただいた。
【まとめ】
日本のみならず、イギリスでも看護、介護の現場では認知症の看護、介護には困惑と困難さが同居していた。病院では、尿路感染症、肺炎で入院した高齢者の認知低下と、せん妄などの対応に「緊急、やむなく」身体拘束を行い、治療を進めることがある。しかし、高齢者の心身に及ぼす影響は大きく、看護現場でもケアマフの利用が効果を出してきている。介護施設では「身体拘束禁止規定」が明記され、「代替」の案に頭を悩ませることも少なくない。病院でも有効になっている認知症マフを高齢者のみならず、温かさを「紡ぐ」ツールとして、老健、病院、地域包括支援センター、地域活動支援センターの職員が、作る人も使う人も繋げることができた。
この栃木老健大会を機に「ケアマフ」が、全国の老健に関わる人たちへも届くことを願っています。