講演情報
[22-P-R001-06]旧村地域で一人暮らしをする若年性認知症患者の支援通所リハビリ利用者に対する支援相談員の役割とは
*阪下 潤一、斎藤 尚子 (群馬県 介護老人保健施設かがやき)
目的:老健かがやきのある桐生市は間に別の市が挟まる飛び地の珍しい地域である。合併前の旧村地域で一人暮らしをする若年性認知症利用者に対する医療介護連携の事例を発表する。対象者情報:60代 男性 弟さんがキーパーソンでその他の親戚付き合いは乏しかった。趣味で吹奏楽(本人はサックスを演奏)のコンサートをしていた。口数の少ない穏やかな性格。事例経過:初めて相談があったのは地域包括支援センターから地域の健診結果を取りに来ない、自宅に訪問したところ健診を受けた事も忘れていた。今後の事を考え認知機能の検査・介護サービス利用を視野に入れて相談をしたいという事であった。近所の診療所へ事情を説明し受診になり、HDS-R 15点・MMSE 21点で認知症疾患医療センターへの紹介、若年性アルツハイマー型認知症の診断を受ける。この時点では自身で車の運転はしていて、買い物などは自分でしていた。診断結果を踏まえて介護保険の申請等、サービス利用を視野に第三者介入につながる。関わり始めて一年くらいは定期受診の継続もできていて、特に問題なく過ごせていた。だが1年を経過するころから、受診日を忘れていたり洋服のボタンが正しく止められていなかったりなど、不安要素が見え始めた。包括支援センターの訪問により服薬管理が出来ていない事がわかり、安定した服薬をする為に訪問看護を導入した。約2年後、自動車事故(物損事故)を起こしたが、対応をする事が出来ずにその場から立ち去ってしまった。この事で運転免許の返納、車の売却を実施する。そしてこれを機に介護サービス利用を増やしていく事になった。関りが増えた事ではっきりしたのは、まず服薬管理は出来なくなっていた。炊事・洗濯など家事全般が疎かになっていた。また、入浴を含め整容を保つ事が難しくなっていたなどがあげられた。デイサービスの検討をしたが地域的にサービス事業所が少ない事。更に若年性認知症というところで受け入れてもらえる事業所を見つける事が難しかった。本人・弟さんの想いとしては出来る限り自宅での生活を続けていきたいと考えていたので、送迎に片道30分かかるが、対応策を検討し、週3日の当施設のデイケアを利用する事となった。その後、炊事・洗濯・掃除など家事全般に支障をきたしてきた為、週2日のヘルパー利用・週2日の配食サービス利用を増やし、一週間で日曜日以外はサービスを利用できる体制を整えた。しかし、関わり始めて3年が経過したころから、ADLの低下が顕著になりHDS-R 5点 MMSE 12点と認知機能の低下も見られた。冬場に暖房機器をつけずに布団にくるまっている事や、夏場においては熱中症で倒れているのを訪問者により発見される事、また失行・失認が増えてきた為、在宅生活を続ける事が困難になってきた様に感じていた。結果:本人・弟さんともに在宅生活の継続を希望していた。そこでケアマネ・訪問介護・訪問看護・デイケアとの情報共有を行う事で、日々の問題点を改善していく為に協力し合うことが出来た。また、診療所や認知症疾患医療センターとの連携を取る事で医療的ケアにも対応する事も可能となった。更に弟さんが協力的になってくれた事で、間が開いてしまう日曜日については弟さんが訪問してくれる日も増やすことが出来た。サービス提供事業所が少ないという事で在宅生活を諦めるのではなく、どうしたら繋げられるか、どうしたら在宅生活を継続できるかを達成する事が出来たのではないかと感じている。考察:現在、かがやきで一番の若い入所者では48歳の方がいる。老健の役割において若年者の対応は必須となってくるのではないかと考えていて、若年者の場合、社会復帰を視野にいれ自立支援考えていくのか、障害福祉を利用していくのかなど、単に在宅生活の継続を考えるだけでなく、当然の事ながら療養状況により判断していかなくてはならない。在宅復帰超強化型施設として、多様性を持って利用者やその家族と向き合わなくてはならないと考えている。実は老健の相談員は一番情報の集約しやすい立ち位置にいると考えているのと同時に、医療と介護をつなぐ役割を担う職種であると思っている。提供できる医療や介護サービスは多数ある。本人や家族の希望を叶える事、逆に色々な場面を想定し諦めていかなくてはならない事にも直面すると思う。どうしたら繋げられるのか、どうしたらやれるのかを考えて支援に向き合う必要があると感じた事例となった。
