講演情報
[SY2-2]回復期リハビリテーション病棟から見た介護老人保健施設
近藤 国嗣 (回復期リハビリテーション病棟協会 理事)

1988年 東海大学医学部卒業
【職 歴】
1988年 慶應義塾大学医学部リハビリテーション科入局 初期研修
1990年 東京都リハビリテーション病院 医員
1992年 慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 医員
1994年 埼玉県総合リハビリテーションセンター 医員
1996年 慶應義塾大学医学部リハビリテーション科 医長
1998年 東京専売病院リハビリテーション科 部長
2000年 川崎市立川崎病院リハビリテーション科 医長
2007年~ 東京湾岸リハビリテーション病院 院長
他
1999年 博士(医学) 学位取得(慶應義塾大学)
2001年~ 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室非常勤講師
2022年~ 慶應義塾大学医学部客員教授(リハビリテーション医学教室)
【学会資格など】
公社)日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医、代議員、監事
一社)日本生活期リハビリテーション医学会 監事
一社)日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 認定士、評議員
一社)日本臨床神経生理学会 専門医、指導医、
一社)日本抗加齢医学会 専門医
一社)日本義肢装具学会 正会員
一社)日本リハビリテーション医療デジタルトランスフォーメーション(DX)学会 理事長
リハビリテーション先端機器研究会 理事
その他
一社)全国デイ・ケア協会 会長
一社)日本リハビリテーション病院・施設協会 副会長
一社)回復期リハビリテーション病棟協会 理事
一社)日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT) 副代表
公社)全国老人保健施設協会 常務理事
【職 歴】
1988年 慶應義塾大学医学部リハビリテーション科入局 初期研修
1990年 東京都リハビリテーション病院 医員
1992年 慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 医員
1994年 埼玉県総合リハビリテーションセンター 医員
1996年 慶應義塾大学医学部リハビリテーション科 医長
1998年 東京専売病院リハビリテーション科 部長
2000年 川崎市立川崎病院リハビリテーション科 医長
2007年~ 東京湾岸リハビリテーション病院 院長
他
1999年 博士(医学) 学位取得(慶應義塾大学)
2001年~ 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室非常勤講師
2022年~ 慶應義塾大学医学部客員教授(リハビリテーション医学教室)
【学会資格など】
公社)日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医、代議員、監事
一社)日本生活期リハビリテーション医学会 監事
一社)日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 認定士、評議員
一社)日本臨床神経生理学会 専門医、指導医、
一社)日本抗加齢医学会 専門医
一社)日本義肢装具学会 正会員
一社)日本リハビリテーション医療デジタルトランスフォーメーション(DX)学会 理事長
リハビリテーション先端機器研究会 理事
その他
一社)全国デイ・ケア協会 会長
一社)日本リハビリテーション病院・施設協会 副会長
一社)回復期リハビリテーション病棟協会 理事
一社)日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT) 副代表
公社)全国老人保健施設協会 常務理事
【はじめに】
我が国の医療・介護提供体制において、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)は急性期治療後のADL(日常生活動作)向上と在宅復帰を推進する重要な役割を担ってきた。しかし、回復期リハ病棟を退棟する患者の現状を見ると、多くの者が一定の障害を後遺した状態にあり、歩行能力やADLが依然として回復途上の段階で地域へと移行している。回復期リハ病棟の退棟は決して「回復の終了」ではなく、シームレスな地域生活へ繋ぐためには、介護老人保健施設(以下、老健施設)との有機的な連携が不可欠である。
【回復期リハ病棟の現状と課題】
近年のデータによると、回復期リハ病棟の病床数は全国で着実に増加を続け、約9万7千床に達している。入棟患者の原因疾患は、脳血管系が約4割、整形外科系が約4割、廃用症候群等が残りを占め、平均年齢は77.6歳と高齢化が顕著である。入棟時FIM(機能的自立度評価)の約4割を重症患者が占める一方、退棟時には多くの患者がFIM利得(ADLの改善)を獲得して自宅や在宅系施設へと退棟していく。しかし、疾患や身体機能が完全に元通りになるわけではなく、麻痺や筋力低下などの障害を残しながら生活の場を移すのが実態である。退棟後に継続的なリハビリテーションを実施することは、退院半年後のADL(BIやFIM)や生活空間(LSA)を改善させる独立した因子であることが実証されている。
【令和8年度診療報酬改定のインパクト】
さらに、令和8年度診療報酬改定は回復期リハ病棟の運営に大きな変化をもたらした。今回の改定では、より質の高いアウトカムを評価する観点から「リハビリテーション実績指数」の基準が引き上げられ、算出方法において「歩行・車椅子」や「トイレ動作」の自立への改善がより高く評価される仕組みへと見直された。一方で、重症患者の対象範囲見直しや受入割合基準の引き下げなどの見直しも同時に行われている。さらに、離床を伴わず、ベッド上でのポジショニングや他動的な拘縮予防のみを行う受動的なリハビリテーションに対しては、原則として減算および算定単位数の制限(1日2単位まで)が課されることとなった。これにより、これまで以上に「活動の向上」と「能動的なアプローチ」に主眼を置いたリハビリテーションが厳格に求められている。
【障害が後遺した中でのリハビリテーション治療】
障害が残存した状態から活動性を向上させるためには、リハビリテーションのパラダイムシフトが必要である。麻痺や拘縮が存在することを「運動神経が良くない」「不器用である」と捉えれば、運動神経が良くなくとも繰り返し特定のスポーツを練習すれば上達するように、障害そのものが大きく変化しなくとも、新たな動作課題を反復練習(能動的訓練)することで新しい動作・活動を獲得することが可能である。この治療のポイントは、①利用者自身が動く「能動的訓練」、②目標に即した「課題の特異性」、③適切な「難易度調整」、そして④「量の確保」の4点に集約される。セラピストに「してもらう」受動的アプローチではなく、目的とする動作を「自ら行う」自動運動への転換こそが成果を生む。
【結語:老健施設への期待】
回復期リハ病棟から地域へのバトンを受ける老健施設には、この「能動的・課題特異的な活動治療」を生活において継続・定着させる役割が期待される。医療から介護への切れ目のない連携体制を強固にし、利用者が住み慣れた地域で望む生活を送り続けられるよう、両者のさらなる協働が求められている。
我が国の医療・介護提供体制において、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)は急性期治療後のADL(日常生活動作)向上と在宅復帰を推進する重要な役割を担ってきた。しかし、回復期リハ病棟を退棟する患者の現状を見ると、多くの者が一定の障害を後遺した状態にあり、歩行能力やADLが依然として回復途上の段階で地域へと移行している。回復期リハ病棟の退棟は決して「回復の終了」ではなく、シームレスな地域生活へ繋ぐためには、介護老人保健施設(以下、老健施設)との有機的な連携が不可欠である。
【回復期リハ病棟の現状と課題】
近年のデータによると、回復期リハ病棟の病床数は全国で着実に増加を続け、約9万7千床に達している。入棟患者の原因疾患は、脳血管系が約4割、整形外科系が約4割、廃用症候群等が残りを占め、平均年齢は77.6歳と高齢化が顕著である。入棟時FIM(機能的自立度評価)の約4割を重症患者が占める一方、退棟時には多くの患者がFIM利得(ADLの改善)を獲得して自宅や在宅系施設へと退棟していく。しかし、疾患や身体機能が完全に元通りになるわけではなく、麻痺や筋力低下などの障害を残しながら生活の場を移すのが実態である。退棟後に継続的なリハビリテーションを実施することは、退院半年後のADL(BIやFIM)や生活空間(LSA)を改善させる独立した因子であることが実証されている。
【令和8年度診療報酬改定のインパクト】
さらに、令和8年度診療報酬改定は回復期リハ病棟の運営に大きな変化をもたらした。今回の改定では、より質の高いアウトカムを評価する観点から「リハビリテーション実績指数」の基準が引き上げられ、算出方法において「歩行・車椅子」や「トイレ動作」の自立への改善がより高く評価される仕組みへと見直された。一方で、重症患者の対象範囲見直しや受入割合基準の引き下げなどの見直しも同時に行われている。さらに、離床を伴わず、ベッド上でのポジショニングや他動的な拘縮予防のみを行う受動的なリハビリテーションに対しては、原則として減算および算定単位数の制限(1日2単位まで)が課されることとなった。これにより、これまで以上に「活動の向上」と「能動的なアプローチ」に主眼を置いたリハビリテーションが厳格に求められている。
【障害が後遺した中でのリハビリテーション治療】
障害が残存した状態から活動性を向上させるためには、リハビリテーションのパラダイムシフトが必要である。麻痺や拘縮が存在することを「運動神経が良くない」「不器用である」と捉えれば、運動神経が良くなくとも繰り返し特定のスポーツを練習すれば上達するように、障害そのものが大きく変化しなくとも、新たな動作課題を反復練習(能動的訓練)することで新しい動作・活動を獲得することが可能である。この治療のポイントは、①利用者自身が動く「能動的訓練」、②目標に即した「課題の特異性」、③適切な「難易度調整」、そして④「量の確保」の4点に集約される。セラピストに「してもらう」受動的アプローチではなく、目的とする動作を「自ら行う」自動運動への転換こそが成果を生む。
【結語:老健施設への期待】
回復期リハ病棟から地域へのバトンを受ける老健施設には、この「能動的・課題特異的な活動治療」を生活において継続・定着させる役割が期待される。医療から介護への切れ目のない連携体制を強固にし、利用者が住み慣れた地域で望む生活を送り続けられるよう、両者のさらなる協働が求められている。
