講演情報

[SY5-3]「前向きACP」と「もしもACP」 ~ICFを活用した老健版アプローチ~

高橋 肇 (全国老人保健施設協会 副会長/介護老人保健施設ゆとりろ 理事長)
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社会医療法人高橋病院 理事長・病院長
 
【略 歴】
1984(昭和59)年    北海道大学医学部卒業後、同大学附属病院循環器内科入局
1989(平成元)年     札幌厚生病院循環器内科医長など複数の公的医療機関を歴任
1996(平成  8)年    高橋病院院長
2001(平成13)年    同病院ならびに社会福祉法人函館元町会理事長
 
【現在の役職】
北海道病院協会 副理事長
全国老人保健施設協会 副会長
全国デイケア協会理事
北海道老人保健施設協議会 副会長
日本病院会北海道支部 理事
電子カルテCSI社 ユーザ会名誉会長
厚生労働省 健康・医療・介護情報利活用検討会構成員
厚生労働省 医療等情報利活用ワーキンググループオブザーバー
厚生労働省 電子カルテ情報共有システム運用に関する技術作業班員
厚生労働省 標準型電子カルテ検討ワーキンググループ構成員
厚生労働省 介護情報利活用ワーキンググループ構成
 
【功 績】
2021(令和  3)年    病院事業発展功労部門にて厚生労働大臣表彰
2025(令和  7)年    介護老人保健施設事業功労部門にて厚生労働大臣表彰
医療と介護のニーズがますます複合化していく超高齢社会では、その人が今後どのようになるかを想像できる形で次へ情報を届けていくことが求められている。そのためには、「生きがい」「Well-being」「満足感」「ACP」など、本人の想いをどう共有し繋げていくか、地域が一体となって支えていく仕組み作りが重要となる。

 当法人ではExcelベースのオリジナルアプリ「ICFシート」を活用している。その人の生活史・人生史を深く知ること、すなわち、「病気だけではなく人をみる」「障がいだけではなく生活をみる」「人をみると同時に家族や地域をみる」ことを心がけている。
 
 だが、現在のACPは、“もしものとき”に備えて作成することが多く、利用者の普段の思いをACPが反映しているとは言い難い。そこで、当法人では、「もしもACP」「前向きACP」の2通りを用意している。
 後者の内容は、「自身の生きがいや幸せに感じること」「楽しかった思い出や苦労したことなど人生観・価値観につながる出来事」「やり残したこと、これからやっておきたいこと」など複数の設問項目から始まり、「そういったことが出来なくなるもしものときが訪れたときにどうしますか」「どこまで医療を受けたいですか」のように、最終的には「もしもACP」に展開できる仕組みとしている。設問自体、生活史に関するものが多いので、本人も「もしも」を意識せずに話しやすくなっている。
 
 課題として、利用者の思いが刻々変化した場合、どうリアルタイムに共有できるのか、また、同一利用者に対し複数の場所でACPが発生する場合、利用者の心情の移り変わりを時系列でどう追っていくか、その解決にはIT連携が必須となるが、当地区では地域連携ネットワークシステムを活用して、「リアルタイム」「時系列」を担保している。
 
 今後、利用者の思いを地域でつなぐためにも、ICFを理解している介護老人保健施設が、「もしも」「前向き」ACPを行い、地域の健康と生活をサポートしていくことが望まれると考えている。