講演情報

[SY6-4]社会保障を支える、これからの老健

松田 晋哉 (福岡国際医療福祉大学 学長)
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【略 歴】
1985年   産業医科大学医学部卒業
1992年   フランス国立公衆衛生学校卒業
1993年   京都大学博士号(医学)取得
1993年4月   産業医科大学医学部公衆衛生学講師
1995年3月   産業医科大学医学部公衆衛生学助教授
1999年3月   産業医科大学医学部公衆衛生学教授
2025年4月   福岡国際医療福祉大学ヘルスサービスリサーチセンター所長
       福岡国際医療福祉大学 看護学部 教授
2026年4月   福岡国際医療福祉大学 学長
       専門領域:保健医療システム論

【実 績】
2018年   第70回保健文化賞受賞

【執筆・学会発表】
主要著書
1.松田晋哉:基礎から読み解くDPC第3版(2011),医学書院.
2.松田晋哉:医療の何が問題なのか-超高齢社会日本の医療モデル(2013),勁草
書房.
3.松田晋哉:欧州医療制度改革から何を学ぶか 超高齢社会日本への示唆(2017),勁草書房.
4.松田晋哉:地域医療構想のデータをどう活用するか(2020),医学書院.
5.松田晋哉:ビッグデータと事例で考える日本の医療・介護の未来(2021),勁草書房.
6.松田晋哉:ネットワーク化が医療危機を救う: 検証・新型コロナウイルス感染症対応の国際比較(2022),勁草書房.
7.松田晋哉:公衆衛生政策学の考え方 DPC、地域包括ケアシステムを中心に(2025), 勁草書房.
高齢社会は医療・介護・生活の複合ニーズを持った高齢者が増加する。複合ニーズには複合的なサービス提供体で対応することが、人的資源に制限がある日本においては合理的である。介護老人保健施設は、この複合的ニーズに応えるために必要な医療・介護・生活サービスを持ち、またそれを支える医師・看護師・薬剤師・セラピスト・栄養士などの人材が揃っている。しかも、平均的に言えば中学校区に1か所、介護老人保健施設は存在している。この総合性は、とりわけ中山間地域で貴重な財産となる。

国民に等しく質の高い介護サービスを提供するためには、介護老人保健施設がその総合性を発揮できるよう機能の再定義を行ったうえで、それを可能にする法的整備が行われなければならない。また、人口過疎地域にある自治体では、地域包括支援センターや介護予防事業を展開するための人的資源の不足が顕在化しつつある。さらに、在宅の障害児・者及びその家族へのレスパイト機能の不足とういう問題もある。介護老人保健施設は、これらのニーズにも応えることができる力を持っている。

今後、介護老人保健施設は医療・介護・生活の複合ニーズを持った高齢者に対して入所、通所、訪問の総合的なサービスを提供する「地域包括ケアステーション」のような機能も持つべきではないだろうか。団塊の世代が80歳を超えていく時代に、高齢者に対する医療・介護・生活サービスの提供体制はドラスティックに変わることを求められるのではないだろうか。

現在の85歳以上の高齢者がどのような支援を必要としているのか、そのニーズが倍増した時にどのような仕組みが必要となるのかを明確にしたうえで、そこからバックキャスティングして制度改革を進めていくことが求められている。医療・介護の全職種が存在し、高齢者の医療・介護・生活の複合ニーズに対応している老人保健施設が、この問題に積極的に取り組んでいくことが望まれる。