講演情報
[A-15-10]計算機合成ホログラフィにおける複素データ圧縮に向けたニューラルネットワーク適用の基礎的検討
〇河畑 則文1 (1. 金沢大学)
キーワード:
計算機合成ホログラフィ、複素データ圧縮、ニューラルネットワーク、画質評価、クロスリアリティ
テレワークの普及やメタバースの進展に伴い,臨場感のある3D映像提示技術としてクロスリアリティ(XR)技術への期待が高まっている.著者はこれまで,多視点レンチキュラ方式やハーフミラーを用いた空中像ディスプレイ試作機を対象に,符号化画質がユーザの主観品質や没入感に与える影響を評価してきた.一方,究極の3Dディスプレイ技術として期待される計算機合成ホログラフィ(CGH)の実用化においては,振幅と位相からなる膨大な複素波面データを効率的に伝送・保存する圧縮技術の確立が不可欠である.既存研究の多くはデータ削減率の向上に主眼が置かれ,人間の視覚特性(主観品質)との相関評価は少ない.また,ニューラルネットワーク(CNNやオートエンコーダ)の適用において,複素データを実部・虚部として扱うか振幅・位相として扱うかで発生するアーティファクトの性質が変化する課題がある.本研究では,ニューラル圧縮がホログラフィック再生像の視覚品質に与える影響を明らかにするための評価基盤の構築を目的とし,その第一段階として画像コンテンツの特性が再生像に与える影響を検証した.実験では,自然画像,3DCG画像,およびRICOH THETA Z1を用いて撮影した超高解像度全天球画像の計5枚を対象に,2次元高速フーリエ変換(2D-FFT)によるCGH生成と,情報量削減を模した複素データの8レベル量子化シミュレーションを行った.客観的画質評価(PSNR,SSIM)の結果,自然画像や超高解像度画像では著しい品質低下を示した一方,特定の3DCG画像では比較的高い耐性を示すなど,画像特性やエッジの鮮鋭度によって劣化挙動が大きく異なることを明らかにした.今後は実際のニューラル圧縮パイプラインを実装し,LPIPS等の知覚指標や主観評価を用いて画質劣化と視覚的許容限界の相関を定量化する計画である.
