講演情報
[A-8-05]相対輝度埋め込みパッチトークンを用いたViTによるNIR顔画像血圧推定
◎宮下 颯1、石黒 達也1、南雲 健人1、野澤 昭雄1 (1. 青山学院大学)
キーワード:
近赤外顔画像、血圧、動的注意機構、相対輝度、Vision Transformer
高血圧症の早期発見・予防には日常的な血圧管理が重要であるが,上腕カフを用いる接触式測定は装着の手間や圧迫感を伴い,頻回測定には適していない.そこで我々の研究グループでは,顔面皮膚に表れる血行動態変化に着目し,940 nm近赤外顔画像(NIRFI)1枚から収縮期血圧を非接触に推定する手法を検討している.これまでVision Transformer(ViT)を用いた回帰モデルを構築してきたが,従来手法では輝度情報を画像特徴の一部として暗黙的に扱うにとどまり,照明条件や撮影距離の影響を受けやすい絶対輝度に依存する可能性があった.本研究では,顔内の相対的な輝度分布に血流や皮膚反射の違いが反映され得ると考え,各パッチの平均輝度を顔領域全体の平均輝度で正規化した相対輝度特徴をViTのパッチトークンに付加する手法を提案した.健常成人148名を対象に,室温を一定に保った環境で940 nm近赤外カメラにより顔画像を取得し,同時に上腕式血圧計で安静時血圧を計1329回測定した.前処理として顔領域の切り出し,アフィン変換による空間標準化,Bilateral filter,CLAHE,マスク処理,データ拡張を適用した.提案手法では,通常のパッチ埋め込みで得られる空間特徴と,相対輝度特徴を全結合層で変換した特徴を重み付き加算し,融合比率αを0.0から1.0まで0.1刻みで変化させて被験者単位交差検証により評価した.評価指標にはRMSEおよび相関係数Rを用いた.実験の結果,空間特徴のみではRMSE 18.89 mmHg,相対輝度特徴のみでは18.29 mmHgであったのに対し,両者を併用した中間領域で誤差が低下し,α=0.4でRMSE 17.14 mmHg,R=0.525の最良性能を示した.以上より,相対輝度特徴は空間特徴を補助する情報として収縮期血圧推定に寄与する可能性が示唆された.
