講演情報

[A-8-18]FastICAを用いた音源分離における各直交化手法の性能評価

◎△清水 将輝1、遠藤 優介1、竹田 晃人1 (1. 茨城大学大学院理工学研究科)

キーワード:

独立成分分析、音源分離、FastICA、Amari距離、ネゲントロピー

独立成分分析(ICA)は,混合信号から元の独立な信号源を分離する強力な手法であり,特に音源分離の分野で広く応用されている.中でもFastICAアルゴリズムは他のICA 手法と比較して収束が速く,実用性が高いことで知られている.FastICA では複数音源の分離時,各推定ベクトルが同一の信号源へ収束するのを防ぐため,ベクトル同士を常に互いに直交させる制約が不可欠となる.本稿では,代表的な直交化手法である逐次直交化と対称直交化の違いが,分離性能に与える影響をシミュレーションにより評価した.
音源数を5から50まで変化させ,推定成分の独立性を示すネゲントロピーと,分離行列の推定精度を測るアマリ距離を指標として比較を行った.その結果,音源数の増加に伴い,逐次直交化では直交射影の反復による累積誤差の影響で性能劣化が顕著となった一方,対称直交化は安定した精度を維持した.仮説検定の結果,ネゲントロピーでは音源数30以上,アマリ距離では音源数10以上で統計的な有意差が確認された.全成分を一度に直交化する対称直交化は誤差の偏りを防ぎ,多音源環境下でも均等かつ高精度な分離を実現できることが裏付けられた.