講演情報
[B-14-19]生成AI×業務ルールのハイブリッド推論アーキテクチャによるPL(製造責任)事象抽出
〇平田 優子1、原 千尋2 (1. ドコモ・テクノロジ株式会社、2. 株式会社NTTドコモ)
キーワード:
生成AI、ハイブリッド推論アーキテクチャ、テキスト分析、業務ルール、品質管理
株式会社NTTドコモでは、携帯端末の故障傾向や修理品質を分析し、製品品質の向上を目指すシステムを運用している。本システムにおいて、店舗スタッフが入力した故障受付メモ(自由記述テキスト)から発熱・発火等の製造物責任(PL)事象を抽出する業務は、人手の目視確認に依存しており、稼働増大と品質のばらつきが課題となっていた。事象抽出の自動化に向けて、文脈理解が可能な大規模言語モデル(LLM)の適用を検証したが、複雑な判断条件を単一プロンプトに集約すると、条件競合やハルシネーションによる誤判定が頻発した。また、実際の業務判断に不可欠な「販売日」等のメタ情報(構造化データ)や事象間の物理的因果関係をLLM単体で考慮することは困難であり、実運用レベルの精度に達しないという原理的な限界があった。本稿では、これらの課題を解決する「生成AI×業務ルールのハイブリッド推論アーキテクチャ」を提案する。第一に「観点分解型LLM推論」として、複雑な判断を一括で委ねず、発熱や人損といった観点ごとの二値分類モジュールとしてプロンプトを分割実行させ、条件干渉を構造的に回避する。第二に「システム後段制御」として、LLMの推論結果に対し、システム側で販売日等の属性情報や事象の因果関係に基づく排他・論理演算を行う。これにより、単純な観点分解では解決できない判定競合を論理的に解消する。本手法を実運用環境に適用した結果、重大事象の検出漏れ(見逃し)を抑制しつつ、過剰な検出(誤検知)を最大約62.5%削減することに成功した。また、各観点の中間データと最終結果の対応関係を保持・可視化することで、トレーサビリティを確保し、運用現場が納得して利用できる高い実用性を実現した。
