講演情報

[B-19-18]正規化フローを用いた顔皮膚温の空間的自己相関特徴に基づく体調異常検知

◎鈴木 智恵1、高野 聖仁1、南雲 健人1、野澤 昭雄1 (1. 青山学院大学)

キーワード:

正規化フロー、顔面熱画像、体調異常検知、空間的自己相関特徴

建設現場における労働災害防止のため、作業員の日常的な体調変化を迅速かつ非接触で把握する遠隔判別手法の確立が求められている。顔面皮膚温度分布は自律神経活動を反映し体調判別に有用であるが、体調不良時の温度パターンは個人差や症状の種類により多岐にわたるため、あらゆる不調状態を網羅的に学習させることは極めて困難である。そこで本研究では、体調良好時のデータのみから健康時の分布を定義し、そこからの統計的逸脱を「不調」として捉える異常検知アプローチを提案する。実験では、建設現場の作業員286名から10か月間にわたり収集した顔面熱画像と体調アンケートを用いた。解析手法として、空間標準化した熱画像から局所的な温度変化の空間的自己相関を示すLMI統計量を算出し、高次元特徴量の確率密度を明示的に評価可能な正規化フローを用いて良好データの分布をモデル化した。正常分布からの逸脱を示す負の対数尤度を異常度として定義している。モデルの性能評価は、良好データを対象とした10分割交差検証(CV)を用いた。さらに、実現場での運用を想定し、検証データの95パーセンタイルを閾値とする「95%法」と、検証データにおいてYouden Indexを最大化する「Youden法」の2種類の閾値決定法を比較した。解析の結果、CVの平均AUCは両手法共に0.69であった。95%法は特異度(TNR)が94.3%と極めて高く、健康な作業員に対する誤警報を抑える安定運用に適する反面、感度(TPR)は10.3%に留まった。一方、Youden法はTPRが70.1%と高感度である反面、TNRは58.4%へ低下した。以上より、本手法は建設現場のニーズに応じた「誤警報を抑える安定運用」と「不調者の高感度検知」のトレードオフを、閾値設定により柔軟に選択できる点で極めて有効である。