講演情報
[B-19-21]金属3Dプリンターによるスパイラルトロイダルベクトルポテン シャルコイルのシミュレーション及び実験的評価
〇奥野 緋輝1、大坊 真洋1 (1. 岩手大)
キーワード:
ベクトルポテンシャル
本研究では,非接触で生体へベクトルポテンシャルを印加することを目的として,中心空洞部にベクトルポテンシャルを発生させるスパイラルトロイダルベクトルポテンシャルコイルを設計し,金属3Dプリンターによりチタン合金製コイルとして作製した。時間的に変化するベクトルポテンシャルは電界の生成に関与するため,高周波駆動時に十分な時間変化を与えることが重要である。一方で,高周波駆動では逆起電力が問題となるため,本コイルではトロイダル形状に沿って配置した128本のスパイラル導体を並列接続し,低インダクタンス化を図った。作製したコイルの主半径は71.8 mm,断面半径は28.0 mmであり,端子インダクタンスは0.4 μHであった。まず,各スパイラル導体を微小線分に離散化し,線積分モデルにより中心空洞内のベクトルポテンシャル分布を計算した。分布図では一次総電流1 AあたりのY=0断面におけるベクトルポテンシャルの大きさを示し,二次コイルのZ方向測定部を重ねて測定位置を確認した。次に,中心から約4,14,24,34 mmの4位置にZ方向測定部を配置し,Z方向長さを150 mmに揃えた長方形経路を二次コイルとして構成した。一次側コイルを100 kHzの正弦波で駆動し,一次電流を0.087 Armsとして各経路の端子間電圧を測定した。得られた誘導電圧は,実効値として評価したシミュレーション結果と最大誤差6.3%で一致した。この一致は,戻り線を含む測定経路全体の線積分を考慮することが,空洞部における電磁応答を解釈するうえで有効であることを示している。以上より,作製したチタン合金製コイルにおいて中心空洞内にベクトルポテンシャル分布が形成され,二次コイルの誘導電圧を線積分モデルにより評価できることを確認した。本結果は,複雑形状コイルの設計と実験的評価におけるシミュレーションの有用性を示すものである。
