講演情報

[B-1C-19]バトラーマトリクスとレンズを用いた非遠方界領域多重ビーム伝送の基礎検討

◎△杉本 大河1、広川 二郎1、戸村 崇1 (1. 東京科学大学)

キーワード:

バトラーマトリックス、非遠方界領域、多重ビーム伝送、レンズアンテナ、信号対干渉比

近年,非遠方界領域における無線通信は,大容量な空間多重伝送を実現する手段として注目されているが,複数のビームを近接して伝送する場合,隣接ビーム間の干渉によって信号対干渉電力比(SIR)が劣化することが課題となる.本稿では,バトラーマトリクスの前方に平凸レンズと整合層を配置し,これを二組相対させたアンテナ系を提案し,その伝送特性を基礎検討する.バトラーマトリクス単体では隣接ビームの交差レベルが約−4 dBと高くSIRが低い.そこで各出力ポートに逆相2分配回路を付加し,電力分配比を調整することで交差レベルとサイドローブを抑圧したうえで,平凸レンズにより各ビームを正面方向へ整相する.一次元の4ビーム8開口アレー(開口間隔0.55λ,開口幅0.51λ)を用い,位相差 ΔΦ = ±45°,±135°の4ビームを66 GHzで形成した.レンズは z = zR 地点で領域ごとに位相が平坦化されるよう曲面形状を設計し,各ビームの伝搬経路差と開口アレーの位相差を補償した結果,中心面での各ビーム間の位相差をほぼ打ち消すことができた.さらに対向レンズ系を構成し,凸面先端間距離 ls に対するSIRを評価したところ,ls = 6 mm において4本のビームの変動が同位相で重なり,ΔΦ = ±45°で12.24 dB,±135°で11.46 dBと,全ビームのSIRが同時に所要値10 dBを超えることを確認した.以上より,バトラーマトリクスとレンズを組み合わせた非遠方界領域多重ビーム伝送の実現可能性を示した.