講演情報
[B-4-39]近傍移動通信基地局環境における衛星通信端末の受信感度抑圧事例と等価波源推定に基づく対策検討
◎富田 恭平1 (1. 日本放送協会)
キーワード:
受信感度抑圧、ブロッキング、電磁干渉、等価波源推定、モーメント法、衛星通信端末
衛星通信端末は,地上系通信網が被災,輻輳,または不感となる場合にも通信手段を確保できるため,防災・公共安全用途において重要な役割を担う。一方,公共施設や都市部の屋上では,衛星通信端末と移動通信基地局,BWA局,防災無線等が近接して設置される場合があり,受信対象帯域への直接干渉だけでなく,近傍高出力波による受信機フロントエンドの感度抑圧(ブロッキング)を考慮する必要がある。本稿では,Sバンドの2.6/2.5 GHz帯を用いる公共安全用途の衛星通信端末が,特定の屋上設置位置で圏外となり通信不能となった事例を対象とする。衛星通信端末とUQ WiMAX/BWA帯域の周波数関係を整理し,受信帯域と外来波の帯域が直接重ならないことを確認した。スペクトラム測定,フィルタ検証,送信条件変更試験により,近傍移動通信基地局波およびBWA帯域の強信号が受信感度抑圧を生じさせている可能性を切り分けた。さらに,測定電界から等価波源を推定し,屋上面,支柱,アンテナ配置を含む3Dモデル上でモーメント法による電磁界解析を行った。その結果,衛星通信端末側を単純に上方へ移設するだけでは強電界から十分に回避できず,近傍基地局アンテナの指向方向およびチルト角度を変更することで端末設置位置の強電界を低減できることを確認した。実際に基地局アンテナのチルト角度変更を行った結果,対象端末は圏外状態から復旧し,通話可能となった。本稿は,衛星系と地上系の近接運用環境において,周波数重複の有無のみでは判断できない受信感度抑圧事象に対し,測定,等価波源推定,電磁界解析を組み合わせて原因同定と対策条件導出を行う手順を示すものである。
