講演情報
[B-5A-04]遮蔽環境下におけるマイクロ波ホログラムQPSK通信の特性評価
〇齋藤 駿介1、福田 敦史2、木戸 康博2、須山 聡2、大坊 真洋1 (1. 岩手大学、2. NTTドコモ)
キーワード:
ホログラフィック通信、QPSK、空間多重、遮蔽耐性、ドローン制御
多数のドローンが上空を飛び交う将来環境では, 3次元空間中の所望の多数位置へ電界強度と位相を届ける技術が求められる. 我々は前報において, Rayleigh–Sommerfeld回折積分に基づくホログラフィックな手法により, ランダムに分布する多数点へQPSK信号を同時送信可能であることを示した. 本手法は, 受信面で得た複素ホログラムの複素共役を用いた逆伝搬と振幅正規化のみで信号を再構成するため, 逆行列を要する逆問題解法を必要としない点に特徴がある. 実環境では, 他のドローンや障害物による遮蔽が伝搬経路に作用するため, 本稿では送受信空間の間に球状の遮蔽物を一様ランダムに配置し, 遮蔽された経路を除いて正伝搬を計算する一方, 逆伝搬は遮蔽を未知として自由空間のグリーン関数を用いることで, 遮蔽をモデル誤差として扱い新たにシミュレーションを行った. なお, 雑音はAWGNとし, 各遮蔽条件の平均受信電力を基準に所望のSNRとなるよう分散を設定した. 経路遮蔽率を0から92%まで, SNRを−10から+10dBまでの5条件で変化させ, ビット誤り率BERを評価した結果, SNR=+10dBにおいて経路遮蔽率が52%に達してもBER<10⁻²を維持し, 経路の半数以上が遮蔽されても通信が破綻しないことを示した. これは, 多数点による波面の冗長性が遮蔽に対する耐性をもたらすためである. また, 誤りの主因はSNRと遮蔽率に応じて変化し, 低SNRでは雑音が, 高SNRでは遮蔽によるモデル誤差が支配的となることを確認した. 今後は, 逆問題解法との計算量・再構成精度の比較に加え, 遮蔽を単純な遮断ではなく回折による回り込みを考慮したより正確な波動伝搬として扱い, 評価を進める予定である.
