講演情報

[B-5B-21]ウェアラブルRFIDに向けた導電糸刺繍ループアンテナの測定

〇松田 大空1、島崎 仁司1 (1. 京都工芸繊維大)

キーワード:

UHF 帯 RFID、磁界型ループアンテナ、ウェアラブルアンテナ、導電糸刺繍

、UHF 帯 RFID は広く応用されているが、タグを人体表面に直接装着する場合、人体の高い
誘電率と損失により、従来の電界型アンテナでは通信性能が著しく劣化する課題がある。そこで
本研究では、人体近接の影響を受けにくいと考えられる磁界型ループアンテナに着目し、ウェアラ
ブル用途に向けた導電糸による刺繍アンテナの設計および試作評価を行った。
電磁界シミュレータを用い、衣服への実装を想定した 100 mm 角以内の制約下で構造設計を行っ
た。RFID チップには Higgs-3 を想定し、その大きな容量性リアクタンスとの間で複素共役整合を
図るため、外側ループの寸法調整により 920 MHz での共振条件を導出した。さらに、給電部に設
けたスタブの長さや線幅を複合的に調整し、インピーダンスに対する最適な整合条件を決定した。
次に、設計値に基づき銀粒子を含む導電糸を用いて帆布生地上に刺繍を施し、チップを実装した
評価用アンテナを製作した。UHF 帯リーダを用いた実測評価により各主平面における放射指向性
を測定した結果、放射パターンの形状はシミュレーションと概ね一致する傾向を示した。ただし、導
電糸の導電率が完全導体に比べて低いため、全体的な放射強度の低下や、一部の角度で通信
不能となる方向が生じた。
このように放射強度の課題は残るものの、帆布生地への実装後においてもアンテナは概ね設計
通りの動作を示し、ウェアラブル用途への適用可能性が示唆された。以上の結果から、導電糸刺
繍を用いた磁界型ループアンテナは RFID ウェアラブル応用に対して有望であると考えられる。今
後は、アンテナの曲げに対する特性変化や、人体および誘電体近傍での通信特性について詳細
な検証を進める予定である。