講演情報

[B-6-37]QKDネットワークのための鍵リレーの経路割当方式の一検討

◎笠原 伸容1、田行 里衣1、堀江 祥文1、里田 浩三1 (1. 日本電気株式会社セキュアシステムプラットフォーム研究所)

キーワード:

量子鍵配送、量子鍵配送ネットワーク、ルーティング

近年、量子コンピュータの進展に伴い既存暗号の安全性が脅かされる可能性が指摘されており、これに対して量子暗号が注目されている。量子暗号は、量子力学の原理に基づいた量子鍵配送(QKD: Quantum Key Distribution)とワンタイムパッド(OTP: One Time Pad)を組み合わせて、情報理論的に安全な鍵共有を実現する。QKDは隣接ノード間のリンクごとに量子光を用いた鍵配送を行う。その際、光伝送損失等によりビット誤りが増加するため、通信距離が制約される。そのため、広域通信には複数リンクからなるQKDネットワークが必要となる。QKDネットワークでのエンド-エンド間の鍵共有には、複数のノードを経由して暗号鍵の共有を行う鍵リレーが用いられる。このとき、安全に鍵共有を行うためOTPが利用される。OTPによる鍵共有には鍵消費が伴うため、各リンクに保持される鍵在庫量は時間とともに不均一になる。その結果、特定リンクで鍵在庫が不足すると、他リンクに十分な鍵が存在していても鍵リレーが実行できなくなる。このように、鍵リレーでは経路に応じて消費される鍵量が変化するため、適切な経路選択が重要となる。
 従来のネットワークでは、OSPF(Open Shortest Path First)に代表されるリンクコストに基づく最短経路選択により、各通信要求に対して逐次的に経路が決定される。OSPFでは経路割当時に鍵在庫量を考慮しないため、特定リンクに鍵リレーが集中し、当該リンクの鍵在庫が枯渇する可能性がある。これにより、鍵供給の遅延や利用可能経路の制限が生じる恐れがある。
 本研究では、一定期間の通信要求を集約し、各要求に対する鍵リレー経路を同時に決定する方式を提案する。また、シミュレーションにより本方式の有効性を評価する。