講演情報

[B-6-52]解析の可読性とトレーサビリティを両立するチケット階層化システムに関する一検討

岩佐 和樹1、〇澤崎 文彦1、原田 高1、高橋 賢1 (1. NTT株式会社)

キーワード:

AIOps

【背景】 ネットワーク運用の効率化に向けて、LLMを活用して障害原因特定や解析プロセスのチケットシステムへの記録を自動化するAIOpsの導入が進んでいる。しかし、二次障害防止の観点から、最終的な復旧判断は人間の運用者に帰属するため、迅速な状況把握を支援する可読性と、判断根拠を検証可能なトレーサビリティの両立が強く要求される。【課題】 従来手法のように、AIが取得した膨大なログや推論プロセス等の全情報を単一の作業チケットへ一元蓄積すると、文字数が数万字になり運用者が限られた時間内で正確に解析の妥当性を判断することが困難になる課題があった。【提案手法】 本稿では、解析プロセスの進捗文脈に応じ、チケットを階層化して動的制御する管理方法を提案する。AI出力をテンプレート化して判定し、解析の概要や最新の結論は親チケットへ集約、取得ログや解析の詳細は子チケットへ自動起票・記録する。これにより、人間が確認する範囲をスリム化しつつ証跡へのリンクを保持する。【評価】 実障害対応データ(計7フェーズ)を用い、LLMモデルにClaude Sonnet 4.6を採用して従来手法と提案手法の対照実験を行った。評価の結果、従来手法(58,424文字)に対し、提案手法の親チケットは2,879文字と大幅に少なく、運用者迅速に把握しやすくなったことを示した。一方で、子チケットの総和は63,132文字と従来比で約8%増加(定型項目の付加分)に留まり、重要情報の欠落や原因誤認なく、ログ等の全量を保持できていることを確認した。【結言】 提案手法は、膨大な情報から運用者が判断を下す際の可読性と、解析プロセスの完全な追跡性を高度に両立する手段として有効である。今後は、文脈に応じたチケット分割ルールの最適化を進める。