講演情報

[C-2C-01]ダイポールアンテナを用いた海上実測による海中塩分濃度推定

◎光安 虹太郎1、田中 俊幸1、大久保 幸哉1 (1. 長崎大)

キーワード:

海水、塩分濃度、nanoVNA、ダイポールアンテナ

近年,養殖業や海洋エネルギー開発など海洋利用の拡大に伴い,海中環境モニタリングの重要性が高まっている.本研究では,海水成分の一つである塩分濃度に着目した.電磁波の伝搬特性を利用した海中塩分濃度推定手法の実現を目的とし,ダイポールアンテナを用いた海上実測を行った.本手法では,2本のダイポールアンテナ間に電磁波を伝搬させ,nanoVNAを用いてS21周波数応答を測定する.塩分濃度3から5%の食塩水に対する測定結果から,0.1から0.3GHzにおける電波受信量を用いて塩分濃度推定式を導出した.室内実験では,採取した海水に対して塩分濃度を誤差0.09%で推定できることを確認している.現在は,海上実測に向けて,波や魚類の影響を考慮したアンテナカバーを用いた測定環境の構築に取り組んで入る.海上実測では,波浪や魚類などの外的要因からアンテナを保護するため,アンテナカバーおよび浮体構造を製作した.測定は長崎県長崎市三重町のみなと公園前海域において実施し,アンテナ間距離を5cmに固定した.nanoVNAを用いて300kHzから1GHzの周波数帯域でS21を測定し,再現性確認のため同条件で3回測定を行った.測定地点の海水塩分濃度はデジタル塩分計により3.6%であることを確認した.測定結果から塩分濃度を推定したところ,3回の測定における推定値の平均は3.754%となり,デジタル濃度計との誤差は,平均推定誤差は0.154%であった.目標としていた誤差0.1%以下には到達しなかった.誤差増大の要因として,アンテナカバー内部での多重反射,送受信アンテナの位置ずれ,およびアンテナ設計の未最適化などが考えられる.今後はアンテナカバーや固定具の改良に加え,アンテナ構造およびアンテナ間距離の最適化を行い,推定精度の向上を目指す.