講演情報

[N-1-12]Koopman作用素に基づくデータ駆動型手法による交通流モデルの相判別

〇高松 隼人1、金城 佳世1、大久保 潤1 (1. 埼玉大学)

キーワード:

交通流モデル、Koopman理論、機械学習

交通渋滞の発生機構や交通流の状態遷移の解明は,交通工学における重要な課題である.交通流は多数の車両の相互作用による非線形・高次元動的システムであり,自由流相,混雑相,渋滞相といった異なる状態へ遷移する.従来は単一観測地点で得られる交通量や速度が用いられてきたが,局所的な情報だけでは渋滞の発生や伝播を十分に捉えることは難しい.そこで本研究では,観測車両とその前後車両の車間距離に着目し,空間的な交通情報のみを用いた交通流相の判別手法を提案する. 交通流データは確率最適速度(SOV)モデルにより生成し,各交通流相の車間距離時系列に対して拡張動的モード分解(EDMD)を適用してKoopman行列を推定した.さらに,Koopman行列の固有値の実部・虚部を特徴量とし,サポートベクターマシン(SVM)による交通流相の分類を行った.また,観測時間を短縮した場合の分類精度を比較し,判別性能への影響を評価した. その結果,Koopman固有値には各交通流相に対応した特徴的な分布が現れ,交通流ダイナミクスの違いを反映していることが確認された.また,3次までの単項式辞書と2つの車間距離変数を用いた場合には97%以上の分類精度を達成し,周辺車両の車間距離情報のみから交通流相を高精度に判別できることを示した.一方で,観測時間が短くなると分類精度は低下し,その程度は使用する変数や辞書次数に依存することが明らかとなった.以上より,交通状態推定では観測条件やモデル設計が判別性能に大きく影響することが示された.今後の課題としては,実交通データへの適用による有効性の検証が挙げられる.