講演情報

[N-1-31]自己組織化投機ゲームにおける価格変動と集団的退出現象

◎△渡部 玲大1、竹田 晃人1 (1. 茨城大学)

キーワード:

エージェントベースモデル、経済物理学、複雑系、金融市場モデル、非線形ダイナミクス

金融市場では,通常では起こりにくい大きな価格変動が観測されることがあり,その発生機構を理解することは重要な課題である.このような市場の性質を説明するため,市場参加者の相互作用に基づくエージェントベースモデルが用いられている.本研究では,Bak-Tang-Wiesenfeld砂山モデルの自己組織化臨界性の考え方を応用した自己組織化投機ゲームを対象に,大きな価格リターン変動が市場参加者の退出にどのような影響を与えるかを調べた.このモデルでは,継続的に新たな参加者が市場に加わる一方,取引後の資産が一定の基準を下回った参加者は市場から退出する.シミュレーションにより,通常時と大きな価格リターン変動後の退出者数を比較した.その結果,大きな価格リターン変動の後には市場からの退出者数が増加する傾向が確認された.特に,その影響は変動直後ではなく,1時刻後に最も強く現れた.また,より極端な価格リターン変動ほど退出者数の増加と結びつきやすい一方,その影響は時間とともに弱まることが分かった.これらの結果は,大きな価格変動を価格系列だけでなく,市場参加者の動態と関連づけて理解する必要があることを示唆している.