講演情報
[N-2-13]Epidemic Computing:計算資源到達性を拡張する分散的計算ネットワーク形成方式
〇西辻 崇1、朝香 卓也2 (1. 東邦大学、2. 東京都立大学)
キーワード:
分散計算、ベストエフォート、P2P、アドホックネットワーク
生成AIに代表される計算需要の急増により,データセンタ等の集中型計算基盤への負荷集中が課題となっている.高性能化したモバイル端末の協調利用は低コストな大規模計算資源となり得る.しかし,端末状況の網羅的な把握が困難であることや性能変動,離脱が生じうるため,利用可能な計算端末を十分に活用した計算ネットワークの構築は容易ではない.また,計算の完了保証も同様に容易ではない.本研究では,近傍モバイル端末間でタスクを再帰的に再委譲し,感染的に分散計算ネットワークを構築する Epidemic Computing (EC) を提案する.各端末は締切までに自力で処理できない超過分のみを近傍へ委譲し,これが再帰的に連鎖して計算系を自律的に拡大する.EC は欠損を許容するベストエフォート型で,対象は独立に分割可能かつ完遂率に応じ精度が向上するタスク(例:モンテカルロ法)である.既存研究は単段・中央集権型が主流で,多段委譲は信頼性の観点から用いられてこなかったが,本研究は結果回収経路を拡散経路から分離し部分結果を許容することで多段の再帰委譲を成立させる.イベント駆動シミュレーションにより,仕事量に対する計算資源到達性(Active nodes)と締切内完了率(CWR)を評価した.EC は Active nodes を18→77台へ拡大し,CWR もベースラインを大きく上回った.これは,EC が仕事量の増大に応じて計算資源到達性を拡張しつつ,ベースラインを上回る締切内完了率(CWR)を達成できることを示している.
