講演情報
[N-2-23]戻り光を有する半導体レーザを用いた再現性を有する物理乱数生成の評価
◎歳弘 哉人1、保刈 天佑1、曾 致豪1、山上 智輝1、内田 淳史1 (1. 埼玉大)
キーワード:
物理乱数生成、物理的複製困難関数、半導体レーザ、位相変調、セキュリティ
乱数は情報セキュリティや大規模数値シミュレーションに不可欠な基盤技術であり,高速かつ予測困難な生成方式が求められている。擬似乱数は高速に生成できる一方,再現性や周期性を有するため予測可能性が課題となる。これに対し,物理乱数は物理現象に由来する高いランダム性を有するが,一般に生成速度が遅い。そこで,高速な物理乱数生成方式として半導体レーザカオスを用いた手法が注目されている。また,入力信号に対して固有の出力を返す物理的複製困難関数やハッシュ関数への応用を考える上では,同一入力に対する出力の再現性が重要となる。半導体レーザのコンシステンシーを利用すれば,同一入力に対して再現性を有する出力波形を得られる可能性がある。しかし,レーザ内部の量子ノイズや測定系雑音の影響により,出力波形は完全には一致しないため,完全一致を必要とする応用へ向けて再現性の評価が必要である。本研究では,再現性を有する物理乱数生成に向けて,戻り光を有する半導体レーザに同一のランダム矩形波信号を繰り返し入力した際の出力波形の再現性を評価した。入力信号は戻り光の位相変調により半導体レーザへ与え,得られた光強度時間波形を測定した。再現性は,同一入力に対して得られた2つの出力信号の時間波形を比較し,相互相関値により定量化した。その結果,繰り返し入力に対する2つの出力波形はよく似た形状を示し,相関値は0.969であった。さらに,戻り光量を変化させて相関値の変化を調査したところ,戻り光量の増加に伴って相関値は一度上昇し,ある戻り光量で最大となった後,さらに戻り光量を増加させると低下する傾向を示した。これは,戻り光量が半導体レーザのダイナミクスおよび入力信号に対する応答の安定性に影響を与えることを示している。以上より,戻り光量を適切に調整することで,半導体レーザ出力の高い再現性を得られることが分かった。
