講演情報
[ES6]遺伝カウンセリング ―変わらないニーズと多様化するニーズに応える―
○秋山 奈々1,2 (1.東京大学医学部附属病院 ゲノム診療部, 2.千葉県こども病院 遺伝診療センター)
1990年代後半に大学病院を中心に遺伝子診療部門が設立され始めてから約30年、国内におけるゲノム医療・遺伝医療を取り囲む状況は大きく変化した。これまで研究や自費診療として実施されていた遺伝学的検査は次々と保険収載され、令和4年度の診療報酬改定では約200疾患が保険収載されている。加えてがん遺伝子パネル検査の保険収載やNIPT実施施設の拡大等を背景に、ゲノム医療・遺伝医療を受け「遺伝カウンセリング」を必要とするクライエントの数は増えていくことが予想される。
このようにゲノム医療・遺伝医療が多様化する中で、「遺伝カウンセリング」に来談するクライエントのニーズも多様化している。これまでは遺伝性疾患と診断を受けた人、もしくは症状や家族歴からその可能性が高いと考えられる人がクライエントの大多数を占めていた。現在では、がんゲノム医療の二次的所見から遺伝性疾患の可能性を指摘された患者、新生児スクリーニングから遺伝性疾患の診断を受ける児やその家族、というように、思いがけないタイミングで遺伝性疾患の診断を受けるクライエントの割合が増えることが予想される。加えて、適切な健康管理方法や治療法が確立された一部の疾患では発症前診断の医学的有用性が高まり、これまで以上に積極的に発症前診断を検討する人が増えると考えらえる。予防法・治療法のない遺伝性疾患についても、当事者や血縁者が着床前診断や出生前診断のために発症前診断や保因者診断を希望する、という相談に対応する必要性がある。
ゲノム医療・遺伝医療で「できること」、「わかること」が多様化する時代においても、遺伝性疾患とともに生きていくことを支えるという遺伝カウンセリングの根幹となる立場や役割は変わらない。本セッションでは認定遺伝カウンセラーの視点から、現在の遺伝医療・ゲノム医療における遺伝カウンセリングについて考察したい。
このようにゲノム医療・遺伝医療が多様化する中で、「遺伝カウンセリング」に来談するクライエントのニーズも多様化している。これまでは遺伝性疾患と診断を受けた人、もしくは症状や家族歴からその可能性が高いと考えられる人がクライエントの大多数を占めていた。現在では、がんゲノム医療の二次的所見から遺伝性疾患の可能性を指摘された患者、新生児スクリーニングから遺伝性疾患の診断を受ける児やその家族、というように、思いがけないタイミングで遺伝性疾患の診断を受けるクライエントの割合が増えることが予想される。加えて、適切な健康管理方法や治療法が確立された一部の疾患では発症前診断の医学的有用性が高まり、これまで以上に積極的に発症前診断を検討する人が増えると考えらえる。予防法・治療法のない遺伝性疾患についても、当事者や血縁者が着床前診断や出生前診断のために発症前診断や保因者診断を希望する、という相談に対応する必要性がある。
ゲノム医療・遺伝医療で「できること」、「わかること」が多様化する時代においても、遺伝性疾患とともに生きていくことを支えるという遺伝カウンセリングの根幹となる立場や役割は変わらない。本セッションでは認定遺伝カウンセラーの視点から、現在の遺伝医療・ゲノム医療における遺伝カウンセリングについて考察したい。