講演情報

[LS16-1]日本人構造多型参照パネル構築におけるOxford Nanoporeシークエンスの活用

大槻 晃史 (東北大学東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 医化学分野)
近年の長鎖リードシークエンス技術の発展は著しく、様々なヒトゲノム解析に活用されている。特に、Oxford Nanoporeシークエンスの実用化に伴い、ヒトゲノム中に存在する構造多型 (SV: 一般に50塩基対以上の多型) を集団規模で解析することが可能になった。一方で、長いリード長で高出力の長鎖リードシークエンスを安定に行うためには、高品質の高分子ゲノムDNAを用いることが重要である。本研究では、東北メディカル・メガバンク機構において樹立・保管されている活性化Tリンパ球から、高分子ゲノムDNAを得ることで、安定したNanoporeシークエンス解析を行う手法を確立した。この手法を用いて、日本人一般集団から選定した111組のトリオからなる333人を対象にPromethIONによるNanopore長鎖リード全ゲノム解析を実施した(平均深度22.2x、平均N50=25.8kb)。情報解析により、挿入や欠失を含む約74,000のSVを同定し、アリル頻度を算出した。同定されたSVの中には臨床的にも重要なSVも含まれていた。データは、日本人構造多型パネル (JSV1) として当機構のjMorpデータベースにおいて公開しており、SVを対象とした難病ゲノム研究の参照データとして、また集団規模のヒト遺伝学研究に貢献するものと期待される。