講演情報
[LS2-2]ナノポアシークエンス関連製品および受託サービスのご紹介
○上村 泰央 (株式会社ジーンベイ)
次世代シークエンサーの登場により、遺伝性疾患、難病、がんなど、さまざまな疾患について、その原因となる遺伝子の異常が、ゲノム解析によって次々に解明されてきた。しかし、現在主流となっているショートリードシークエンサーでは、数百塩基程度の短い配列断片しか解読できないため、数kbpから数Mbp、さらには染色体レベルにも及ぶ大きな構造異常を捉えることが困難であった。<br/>オックスフォード・ナノポア・テクノロジーズ社が開発したナノポアシークエンサーは、DNA鎖が「ナノポア」と呼ばれる人工膜に埋め込まれた数ナノメートルのタンパク質ポアを通過する際に生じる電位の変化を測定することにより、塩基配列を解読できる最先端の次世代シークエンサーである。数十kbpから数百kbp、最長では数Mbpにも達するような非常に長い配列断片を、1本のリードとして解読することができるため、これまでのシークエンサーでは困難であった大きな構造異常を明らかにすることも可能になりつつある。また、塩基修飾の検出やRNAの配列も直接読むことができる。さらに、必要DNA量、RNA量が比較的少ないこと、短納期での解析が可能、といった利点に加え、サンガーシークエンサー並みの配列決定精度を実現する試薬も利用できるようになったこともあり、今後は疾患ゲノム解析のプラットフォームとして広く普及が進むことが予想される。<br/>本講演では、最新のナノポアロングリードシークエンサーを用いた臨床検体の全ゲノムシークエンス、ターゲットシークエンスおよびトランスクリプトームシークエンスの受託サービスの紹介をはじめ、ナノポアシークエンスデータの解析を行うための解析システム製品についても紹介したい。