講演情報

[LS4-2]PacBio社ロングリードシーケンサーを使用したアプリケーションと、2022年のアップデートについて

小林 孝史 (PacBio Japan 合同会社 サイエンティフィックアフェアーズ)
PacBio (Pacific Biosciences of California)社は2010年にシーケンサーをリリースして以降、ロングリードシーケンサーのサプライヤーとして活動してきた。ロングリードシーケンサーは多倍体など複雑なゲノム配列の解読に使用され、ガンゲノムの詳細な解析や神経疾患にかかわるリピート伸長などの解読に大きく貢献している。2020年にリリースされた現行機種のSequel IIeは解析用のウェルとなるZMW(Zero-Mode Waveguide)を800万持ち、ヒトゲノム解析にも対応するスループットを持つ。<br/>最近のPacBio社のロングリードシーケンサーの特徴は、最長25 kb(平均15-18kb)というロングリードでありながらショートリード並みの精度(正確性99.9%以上、Q30以上)を示すHiFiリードを出力することである。高精度で長いリードが取れるからこそ、複雑なゲノム構造であってもアセンブリーなどの作業が正確に行える。実際に、2022年にはヒトゲノム配列の解析に大きく貢献した、Telomere-to-telomere (T2T) consortiumやHuman Pangenome Consortiumなどから報告が出てきておりそれらにもHiFiリードが使用された。<br/>また、2022年のAGBT (Advances in Genome Biology and Technology)、ASHG (American Society of Human Genetics)では高精度のショートリードシーケンサーをPacBio社で開発中であると公表し、将来的にはショートリードとロングリードの2つのシーケンサーを販売する予定である。<br/>今回の発表では、前半にPacBio社のロングリードシーケンサーについて原理とアプリケーションのご紹介を、後半に開発中のショートリードシーケンサーについてのご紹介を行う予定である