講演情報

[LS6-2]都市部におけるNIPTの現状と今後

佐々木 愛子 (国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)
有識者による「NIPT等の出生前検査に関する専門員会」が設置され、令和3年5月に委員会報告書がまとめられたことを受け、この度、令和4年2月25日付けで、厚生労働省子ども家庭局母子保健課より「出生前検査に対する見解・支援体制について」という通達が発出されることとなった。これは、1990年代における母体血清マーカー検査の国内導入時の混乱を避けるため、1999年の「母体血清マーカー検査に関する見解」により20年来“医師は積極的に妊婦に知らせる必要はない”としてきたわが国の方針を大きく方向転換するものである。<br/>国立成育医療研究センターは、2013年4月の臨床研究開始時からNIPTを含めた出生前遺伝学的検査を扱う周産期遺伝外来を設立し、その対応にあたってきたが、今回、改めてNIPT認定基幹施設の認定を受けることとなった。自施設で分娩予定の妊婦はもちろんのこと、無認可施設によるトラブル症例や、近隣の産婦人科個人クリニックからの遺伝カウンセリングを含めた紹介依頼など、多種多様の遺伝相談を引き受けている。<br/>「遺伝医療」というと、“臨床遺伝専門医”が対応する特殊な医療であるという認識が強いかもしれないが、胎児を最も近くで診療している医師は、やはり産婦人科医であり、これからの産婦人科診療においては、表現型(phenotype)を診断する「超音波医学」に加え、遺伝型(genotype)を診断する「臨床遺伝学」も必須であり、この二つの領域は周産期診療を行う際の両輪となるべき知識であると考える。<br/>本ランチョンセミナーでは、より多くの産婦人科施設の先生方に連携施設となっていただき、かかりつけ妊婦が適切な遺伝医療を選択できるように、対応時の留意点など解説を行う。