講演情報

[O1-2]全ゲノムシークエンスデータから探る日本列島人の遺伝的多様性の起源

河合 洋介1, 大前 陽輔1,2, 野入 英世2, 徳永 勝士1,2 (1.国立国際医療研究センター 研究所 ゲノム医科学プロジェクト, 2.ナショナルセンターバイオバンクネットワーク 中央バイオバンク)
ユーラシア大陸の東の先に位置する日本列島は出アフリカ以降の人類の移住のひとつ終着点であり、大陸からの人びとの移動によって遺伝的多様性が形作られたという特徴を持つ。現代日本人は縄文時代(約16000年前-)に移住した人々と弥生時代以降(約3000年前-)に移住した人々の遺伝的な影響を受けていることがゲノム研究によって明らかになっている。近年のゲノム研究によりいわゆる本土クラスター・琉球クラスターに代表される遺伝的分化に加えて、それぞれのクラスターの内部にも遺伝的構造の存在が示唆される報告がなされている。しかしながら日本列島の人々の遺伝的な時空間的な変遷と成立過程は明らかになっていない。そこでナショナルセンターバイオバンクネットワーク(NCBN)のバイオバンク検体の全ゲノムシークエンス解析の結果と都道府県レベルの地域情報を利用し、より詳細な日本列島内の集団遺伝学的な構造を明らかにする研究を行った。NCBNのコントロール群ゲノムデータ解析で得られた9850人のゲノムデータと公的データベースに登録されているデータを統合して集団遺伝学的な解析を実施した。本土集団と琉球集団のハプロタイプ共有長の分布は異なっており、過去の集団サイズの動態に違いがあることが示された。さらに主成分分析では本土集団内の詳細な遺伝的な構造があり、主成分値の平均値を都道府県にマッピングすると近畿地方を中心とする勾配があった。これらの結果から弥生時代以降の遺伝的流入の影響を検討した。