講演情報

[O12-3]学会認定外施設の全染色体NIPTで陽性結果を得た後、羊水染色体検査で低頻度モザイクを認めた2例に関する考察

田村 智英子1, 井原 千琴1, 中村 靖1, 山田 研二1, 古澤 未緒1, 紀平 力1,2, 宋 美玄1,3, 金沢 誠司1 (1.FMC東京クリニック, 2.帝京大学医学部産婦人科, 3.丸の内の森レディースクリニック)
【背景】
近年、全染色体NIPTを実施している学会認定外施設が多数出てきた。当院では、認定外施設NIPTで21、18、13以外の常染色体トリソミー陽性となった事例に対応してきたが、今回、その中で、羊水染色体検査で低頻度モザイクが見られた2例について報告する。
【症例】
(1)40代妊婦、産科通院先はNIPT認定施設であったが、広範囲の項目を調べられ結果も早く出る認定外施設のNIPTを受検、3トリソミー(3T)陽性となった。当院の初期精密超音波検査では異常所見はなかったが、羊水FISHで100細胞中8細胞が3T、G分染では異数性細胞なしだった。何度も話し合った結果、妊娠継続を決断。中期精密超音波検査では異常所見はなかった。
(2)40代妊婦、前回妊娠時、産科通院先ではNIPTを実施していなかったため、学会認定外施設のNIPTを受検。今回妊娠時の産科通院先はNIPT認定施設だったが、前回と同じ認定外施設のNIPTを受け、8トリソミー(8T)陽性となった。当院の初期精密超音波検査では異常所見はなかったが、羊水FISHにて100細胞中4細胞が8T、G分染では60細胞中3細胞が8Tであった。様々な点についての話し合いを経て妊娠継続を決断。中期精密超音波検査では異常所見はなかった。
【考察】
NIPTにてトリソミー陽性となる背景としては、(i)胎児に異数性細胞が存在、(ii)胎盤にのみ異数性細胞が存在、(iii)胎児にも胎盤にも異数性細胞は存在せずNIPT結果は測定誤差、などが考えられる。状況確認には羊水細胞の未培養FISHで観察細胞数を増やすことが有意義だが、21、18、13以外の常染色体FISHプローブを常備している検査機関は少なく、低頻度モザイクがあった場合の予後予測も難しい。染色体によってはトリソミー・レスキューによる片親性ダイソミーの考慮が必要になる場合もある。精密超音波検査も補助的手段となり得るが、最終的には丁寧な情報提供を行い個別の決断をサポートすることが重要と考えられた。