講演情報
[O12-4]出生前検査の受検と無痛分娩選択との関連
○池袋 真1, 廣瀬 達子1, 菅野 摂子2, 宮上 景子1, 坂本 美和1, 水谷 あかね1, 森本 佳奈3, 清野 仁美4, 吉橋 博史5, 山田 崇弘6, 佐村 修7, 関沢 明彦1, 白土 なほ子1 (1.昭和大学 医学部 産婦人科, 2.埼玉大学 ダイバーシティ推進センター, 3.京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療倫理学・遺伝医療学分野, 4.兵庫医科大学 医学部 精神科神経科学講座, 5.東京都立小児総合医療センター 遺伝診療部 臨床遺伝センター 臨床遺伝科, 6.京都大学医学部附属病院遺伝子診療部/倫理支援部, 7.東京慈恵会医科大学 医学部 産婦人科教室)
【目的】褥婦に対する大規模アンケート調査により出生前検査受検及び無痛分娩選択の実態を明らかにする。【方法】18-44歳の褥婦1,029人を対象に、年齢ごと、地域ごとの出生数分布構成をマッチさせてWeb調査を実施した。背景や出生前検査受検の有無で無痛分娩の選択状況を集計し、統計は分散分析、t検定等を用いて解析を行った。尚、本研究は成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「出生前検査に関する妊産婦等の意識調査や支援体制構築のための研究」の一部として施設の倫理委員会の承認を受けて実施した。【結果】出生前検査受検者(S)は124人(12.1%)、非受検者(NS)は874人(85.0%)であり、SのうちNIPTを46人、羊水検査(AC)を19人が受検していた。全褥婦の無痛分娩選択者(M)は81人(7.9%)であり、Sのうち、Mは19人(15.3%)、NSのうちMは 58人(6.6%)だった。世帯年収600万以上の高年収(359人):世帯年収600万未満の低年収(420人)に分けてそれぞれの項目の割合を比較すると、Sは16.7%:8.8%、NIPTは4.2%:2.9%、Mは11.4%:4.5%とS・NIPT・Mともに高年収世帯に多い傾向を認めた。NIPT受検者のうち高年収でMは1.1%、低年収でMは0.2%だった。また、35歳以上(318人):35歳未満(711人) に分けてそれぞれの項目の割合を比較すると、Sは64人(20.1%):60人(8.4%)、NIPTは31人(9.7%):15人(2.1%)と35歳以上で多く受検していた。一方、Mは26人(8.2%):55人(7.7%)で年齢要因に差はなかった。SのうちでMを行ったのは、35歳以上で14%、35歳未満で16.7%、NIPT受検者のうちMはそれぞれ0.9%、0.3%であった。【結論】出生前検査やNIPT受検者は、高年齢、高年収世帯であり、無痛分娩選択率が高い傾向にあった。出生前検査、分娩様式には多様なニーズがあり、その背景には様々な因子が関与することが示唆され、今後は心理社会的側面の検討も必要と考える。