講演情報
[O17-2]BRCA1/2 病的バリアント保持者の乳癌と卵巣癌の臨床病理学的特徴について
○田中 彩1,3, 松本 恵1,3, 高尾 真未3, 三浦 生子2,3, 長谷川 ゆり2,3, 稲益 英子1, 大坪 竜太1, 三浦 清徳2,3, 永安 武1 (1.長崎大学大学院 医歯薬総合研究科 腫瘍外科学分野, 2.長崎大学大学院 医歯薬総合研究科 産科婦人科学分野, 3.長崎大学病院 ゲノム診療センター 遺伝カウンセリング部門)
【背景と目的】2020年4月より遺伝性乳癌卵巣癌症候群(以下HBOC)に対する診療が一部保険収載されたことで、当院でもBRCA1/2の遺伝学的検査の希望者は増加している。これまでに当院で検査を施行した225例のうち、いずれかの遺伝子に病的バリアントを保持していたのが26例(11.6%)であった。現在、他院紹介例も含め41例のサーベイランスやリスク低減手術などを行っている。当院における乳癌と卵巣癌の臨床病理学的な傾向を検討した。
【対象と方法】2013年7月から2022年3月末までに当院および関連病院で確認したBRCA1/2病的バリアント(以下バリアント)症例のうち、乳癌もしくは卵巣癌と診断された37例を対象とした。カルテより症例を抽出し、発症した癌の臨床病理学的特徴を後方視的に検討した。
【結果】BRCA1バリアント保持者は19例であった。乳癌7例、卵巣癌7例、乳癌も卵巣癌も発症したのが5例であった。乳癌12例のうち、両側もしくは多発乳癌が5例(41%)、トリプルネガティブ乳癌が8例(67%)であった。癌の組織学的グレードは3の症例が最も多く、組織型は浸潤性乳管癌だけでなく、髄様癌もみられた。卵巣癌12例のうち、80%以上が高異型度漿液性癌であり、進行期3期以上であった。
BRCA2バリアント保持者は18例であった。乳癌15例、卵巣癌2例、乳癌も卵巣癌も発症したのが1例であった。乳癌16例のうち両側乳癌が4例(25%)であった。ホルモン陽性HER2陰性乳癌が80%を占め、組織型は70%以上が浸潤性乳管癌であった。卵巣癌3例のうち2例は高異型度漿液性癌、4期であった。
【考察】卵巣癌はBRCA1バリアントが多い傾向であった。BRCA1/2と関連する癌の特徴は既存の報告と類似しており、文献的考察を加えて報告する。
【結語】当院でのBRCA1/2バリアント保持者の乳癌や卵巣癌の臨床病理学的特徴について検討した。今後HBOCと判明する症例は増加すると思われ、さらに症例を蓄積し、関連癌の特徴を明らかにしていく。
【対象と方法】2013年7月から2022年3月末までに当院および関連病院で確認したBRCA1/2病的バリアント(以下バリアント)症例のうち、乳癌もしくは卵巣癌と診断された37例を対象とした。カルテより症例を抽出し、発症した癌の臨床病理学的特徴を後方視的に検討した。
【結果】BRCA1バリアント保持者は19例であった。乳癌7例、卵巣癌7例、乳癌も卵巣癌も発症したのが5例であった。乳癌12例のうち、両側もしくは多発乳癌が5例(41%)、トリプルネガティブ乳癌が8例(67%)であった。癌の組織学的グレードは3の症例が最も多く、組織型は浸潤性乳管癌だけでなく、髄様癌もみられた。卵巣癌12例のうち、80%以上が高異型度漿液性癌であり、進行期3期以上であった。
BRCA2バリアント保持者は18例であった。乳癌15例、卵巣癌2例、乳癌も卵巣癌も発症したのが1例であった。乳癌16例のうち両側乳癌が4例(25%)であった。ホルモン陽性HER2陰性乳癌が80%を占め、組織型は70%以上が浸潤性乳管癌であった。卵巣癌3例のうち2例は高異型度漿液性癌、4期であった。
【考察】卵巣癌はBRCA1バリアントが多い傾向であった。BRCA1/2と関連する癌の特徴は既存の報告と類似しており、文献的考察を加えて報告する。
【結語】当院でのBRCA1/2バリアント保持者の乳癌や卵巣癌の臨床病理学的特徴について検討した。今後HBOCと判明する症例は増加すると思われ、さらに症例を蓄積し、関連癌の特徴を明らかにしていく。