講演情報
[O20-5]腹腔鏡下に性腺摘出術を施行した46, XY DSD 5例の解析と評価-病態による内性器の相違と女性ホルモン動態の推移-
○北出 真理, 尾崎 理恵, 牧野 祐也, 村上 圭祐, 岡田 由貴子, 川崎 優, 落合 阿沙子, 武内 詩織, 柳原 康穂, 河村 和弘, 板倉 敦夫 (順天堂大学 産婦人科学講座)
【緒言】46, XY DSDは、ミューラー管構造物の有無によりホルモン値や悪性化リスクが異なるため、早期の鑑別を要する。完全型アンドロゲン不応症(Complete androgen insensitivity syndrome:CAIS)はアンドロゲン受容体(androgen receptor:AR)遺伝子の異常を呈し、精巣を有するものの表現型は女性型である。一方、Swyer症候群は、SRY遺伝子の欠失・変異により内性器・表現型とも女性型となる。本講演では、染色体・遺伝子検査と画像診断により確定診断し得たCAISとSwyer症候群の5例における治療経緯を報告する。【症例】CAIS(4例):全例が原発性無月経を主訴に来院した。染色体G-band解析法による染色体核型は46,XYであり、うち3例は血中テストステロン高値、Hypogonadotropic hypogonadismにより二次性徴の遅延を認めた。本人と家族に性腺悪性化のリスクをICの上、腹腔鏡下性腺摘出術を施行した。性腺は2例が骨盤内、1例が鼠径管内、1例が腹壁に認め、病理学的検査では良性かつ未熟な精巣組織・精細管を認めた。術後速やかに、ホルモン補充療法を開始した。Swyer症候群(1例):15歳、思春期遅発症を主訴に来院した。外性器は完全女性型であるも内性器が同定できず、ホルモン動態はHypogonadotropic hypogonadismを呈し二次性徴の遅延を認めた。遺伝子解析の結果、SRY遺伝子上にアミノ酸変異を認め、XY純粋型性線形成不全症の診断となった。エストロゲン補充後には子宮と性腺が確認できたため、同様にICを行い腹腔鏡下両側附属器摘出術を施行した。摘出物の病理学検査では、未熟な卵巣組織を認めたが、悪性化はみられなかった。【考察】同じ46, XY DSDでも、その病態により表現型やホルモン動態、悪性化のリスク、妊孕能が異なるため、正確な診断の上で年齢や疾患に応じた介入を適切な時期に行うのが望ましい。