講演情報
[O22-1]当院のLynch症候群の診断の契機とサーベイランスの実施状況
○石堂 佳世1, 沖 明典2,6, 齋藤 誠1,6, 天貝 賢二3, 越智 寛幸2, 伊賀上 翔太4, 小井戸 綾子5, 赤木 究7 (1.茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター, 2.茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター産婦人科, 3.茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター消化器内科, 4.茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター外科, 5.茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター医療技術部臨床検査技術科, 6.筑波大学附属病院・茨城県地域臨床教育センター, 7.埼玉県立がんセンター腫瘍診断・予防科/がんゲノム医療センター)
【背景・目的】近年、がん診療中に遺伝性疾患を見出す機会が増えた。リンチ症候群(LS)の場合、免疫チェックポイント阻害薬の適応判定、遺伝に関する問診、がんゲノムプロファイリング(CGP)検査などを機に診断されることがあり、当院でのLS診断の契機およびサーベイランス状況について調べた。
【方法】2018年8月より2022年5月末迄のLS診断症例を診療録などより後方視的に検討した。
【結果】これまでに38例がLSと診断された。子宮体癌(EC)や卵巣癌(OC)の診療方針決定の為の免疫組織化学染色(IHC)とMLH1メチル化解析を組み合わせたユニバーサルスクリーニング(UTS)より17例、医師の家族歴聴取2例、大腸癌の遺伝問診票6例、CGP検査2例、血縁者11例であった。UTSを実施した321例のEC,OCのうち、MMR蛋白発現消失およびMLH1メチル化陰性を示したLS疑いは29例で、そのうちの58.6%(17/29)がLSと診断された。大腸癌の遺伝問診実施321例中LS疑いは69例、14例が遺伝外来を受診し8.7%(6/69)がLSの診断に至った。また、LSと診断された個人でサーベイランスが実施されなかったのは、治療中などを除き、UTS2/17例、遺伝問診票1/4例、血縁者1/11例であった。
【考察】ECでのUTSによるLS疑い例の病的バリアント保有率は最大約60%と報告があり、当院でのUTSも同等であった。EC、OCのIHCとMLH1メチル化解析によるUTSは、大変効率よくLSを診断することができた。また、大腸癌の問診での抽出は、遺伝相談に繋がりにくく、LS診断の契機となりにくかった。一方、CGP検査では結果説明時に家族が同席することが多く、血縁者診断に結び付きやすい傾向があった。LS診断の契機がいずれでも、サーベイランスの実施率は比較的良好であった。
【方法】2018年8月より2022年5月末迄のLS診断症例を診療録などより後方視的に検討した。
【結果】これまでに38例がLSと診断された。子宮体癌(EC)や卵巣癌(OC)の診療方針決定の為の免疫組織化学染色(IHC)とMLH1メチル化解析を組み合わせたユニバーサルスクリーニング(UTS)より17例、医師の家族歴聴取2例、大腸癌の遺伝問診票6例、CGP検査2例、血縁者11例であった。UTSを実施した321例のEC,OCのうち、MMR蛋白発現消失およびMLH1メチル化陰性を示したLS疑いは29例で、そのうちの58.6%(17/29)がLSと診断された。大腸癌の遺伝問診実施321例中LS疑いは69例、14例が遺伝外来を受診し8.7%(6/69)がLSの診断に至った。また、LSと診断された個人でサーベイランスが実施されなかったのは、治療中などを除き、UTS2/17例、遺伝問診票1/4例、血縁者1/11例であった。
【考察】ECでのUTSによるLS疑い例の病的バリアント保有率は最大約60%と報告があり、当院でのUTSも同等であった。EC、OCのIHCとMLH1メチル化解析によるUTSは、大変効率よくLSを診断することができた。また、大腸癌の問診での抽出は、遺伝相談に繋がりにくく、LS診断の契機となりにくかった。一方、CGP検査では結果説明時に家族が同席することが多く、血縁者診断に結び付きやすい傾向があった。LS診断の契機がいずれでも、サーベイランスの実施率は比較的良好であった。