講演情報

[O3-1]日本人のY染色体ハプログループ解析と地域頻度

井上 誠, 佐藤 陽一 (徳島大学 大学院医歯薬学研究部 医薬品情報学分野)
【背景】2014年に我々は日本人の拡散の様子を明らかにするために国内7都市から収集した2400名のDNAサンプルについてY染色体ハプログループを決定し、地域頻度を解析した。その結果、各ハプログループの頻度は均質化されていることを示した。しかし昨今のゲノムシーケンス技術の発展によりY染色体ハプログループの系統樹も年々分岐が更新されている。本研究ではハプログループの更新及び地域毎のグループ頻度の解析を行なった。【方法】国内7都市(長崎、福岡、徳島、大阪、金沢、川崎、札幌)に属する日本人男性約1600名を対象に、ISOGG (International Society of Genetic Genealogy)の系統樹に基づいてPCR-RFLP、サンガーシーケンス及びTaqMan-PCRを用いてジェノタイピングを行い詳細なハプログループを決定した。【結果・考察】旧C1は主にC1a1a1a及び C1a1a1bに分類された。徳島、大阪では他の地域と比較して、C1a1a1bが高頻度にみられた。また、旧C3はC2aとC2bに分類され、さらにC2bはC2b1a1a、C2b1a1b、C2b1a2、C2b1bに分岐していた。大阪ではC2b1a1aとC2b1bの頻度が低く、C2aとC2b1a2の頻度が高かった。旧D2*はD1a2a1c1a1a、D1a2a1c1a1b、 D1a2a1c1b、 D1a2a1c1c、 D1a2a1c2、D1a2a2に、旧D2a1はD1a2a1a2b1a1a、 D1a2a1a2b1a1b、 D1a2a1a3等に分類された。このうち、D1a2a2は長崎、福岡で頻度が低いが、徳島、大阪では高いことがわかった。Oに関しては、旧O2b*はO1b2a1a2a1a、 O1b2a1a2a1b、 O1b2a1a3に、旧O2b1はO1b2a1a1a、 O1b2a1a1b、 O1b2a1a1cに、旧O3a3cはO2a2b1a1a1a1、O2a2b1a1a1c1b1、旧O3a4はO2a1b1a1a1a1f1a1bなどに分類された。O2b*のうち、O1b2a1a2a1aは大阪で頻度が高く、またO1b2a1a1も徳島と大阪で高頻度にみられた。以上のことから、徳島、大阪ではハプルグループ頻度に違いがあることが分かった。