講演情報
[O31-2]HPVワクチン後に中枢神経症状が出現した症例の検討:免疫調節遺伝子の関与
○高橋 幸利1,2, 松平 敬史1, 西村 成子1, 高尾 恵美子1, 笠井 理沙1, 榎田 かおる1 (1.国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター, 2.岐阜大学医学部小児病態学)
【目的】 我々は、HPVワクチン後脳機能障害症例(HPV-P)の髄液免疫マーカー解析で、IL-4, IL-8、GluN2B-NT2抗体など免疫マーカーの増加を明らかにした(J Neuroimmnol, 2016)。Rasmussen脳炎では、免疫調節遺伝子であるcytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4 (CTLA4)およびprogrammed cell-death 1 (PDCD1)のSNPが発病に影響することを明らかにした(Epi Res, 2013)。HPV-Pの発病、免疫病態におけるCTLA4、PDCD1のSNPの関与を明らかにする。【対象】 HPV-P30例を対象とした。【方法】CTLA4遺伝子exon1+49のSNP(rs231775)とPDCD1遺伝子のexon5のSNP(rs2227982)をライトサイクラーを用いて解析、HAP MAP dataの日本人対照データと比較した。さらに2つの遺伝子のSNPと認知機能、髄液免疫マーカーとの関連を検討した。認知機能はWMS-Rなどを用い、サイトカインなどはBioPlexを用いて測定した。【結果】:HPV-Pと日本人対照のrs231775とrs2227982の遺伝子型頻度に有意差はなかった(p=0.3110、0.8887)。CTLA4のGG-SNP症例(12例)では、AG(11例)に比較して総合記憶指数(MQ)、言語性MQ、遅延再生MQが有意に低かった。CTLA4のGG-SNPでは、AGに比較してCD4+Tcell が低く(p=0.0132)、AAに比較してGluN1-NT抗体が低く(p=0.0390)、AGに比較してIL-2が高かった(p=0.0157)。PDCD1のTT-SNPと認知機能に関連は認めなかったが、CC、CTに比べてGluN2B-NT2抗体が高かった(p=0.0360、p=0.0047)。【考察】HPV-Pでは、CTLA4 およびPDCD1のSNPは発病には関与しないが、免疫マーカーの値、認知機能障害に影響する。