講演情報
[O31-4]COQ4バリアントに伴うミトコンドリア病を呈した二卵性双胎について
○服部 有香1, 四本 由郁1,2, 長坂 美和子1,2, 春藤 望2, 玉置 知子2, 村山 圭3 (1.社会医療法人愛仁会 高槻病院 小児科, 2.社会医療法人愛仁会 高槻病院 遺伝診療センター, 3.千葉県立こども病院 遺伝診療センター)
はじめに:ミトコンドリア病はミトコンドリア機能異常に起因し、病型だけでなく疾患原因遺伝子にも多様性がある。ミトコンドリア電子伝達系の担体であるcoenzyme Q欠損もミトコンドリア病の原因となる。COQ4欠損症(OMIM# 616276、9q34.11)は常染色体潜性遺伝性疾患である。二卵性双胎の双方に発症した症例を報告する。症例1:双胎第1子の男児。36週1日、2884gで出生。5か月時にWPW症候群と診断され、1歳時点で定頚不安定、四肢の緊張亢進を認めた。1歳1か時に嘔吐・意識減損を繰り返す焦点発作が群発。頭部MRI検査で右後頭-頭頂葉の浮腫性変化を認めた。症例2:双胎第2子の女児。1874gで出生。3か月時に無熱性けいれん群発を認め抗てんかん薬を開始。定頸不安定な1歳6か月時に頻回嘔吐と焦点発作が群発。頭部MRI検査で右後頭-頭頂葉の浮腫性変化を認めた。経過:2例ともに脳卒中様の発作を繰り返した。2例に共通して高乳酸血症、進行性の精神運動発達遅滞を認め、両側の基底核病変も出現した。MELASやLeigh脳症を鑑別にあげ、ミトコンドリア病の遺伝学的診断を考慮するに至った。その結果、2例に共通して皮膚線維芽細胞による酸素消費量低下を認め、COQ4に2つのミスセンス変異を検出した。一方は既報告の病的バリアント、他方は新規バリアントであったが病原性予測スコアより病原性ありと判断した。両親がそれぞれのバリアントを1つ有しており、臨床症状も併せて複合ヘテロ接合による発症と診断し、結果を踏まえて追加治療を行っている。考察:同一のCOQ4バリアントをもつ同胞であっても表現型に差があった。ミトコンドリア病は多様な症状・責任遺伝子があるため、ミトコンドリア病を疑う場合は迅速に実施できる遺伝学的診断体制の確立が望まれる。