講演情報

[O32-3]「遺伝医療・ゲノム医療」理解促進のための医学教育プログラムの開発と普及に関する研究

小林 朋子1, 赤間 孝典2, 逆井 良3, 石井 誠一4, 橋本 優子5, 石垣 靖人6, 古庄 知己7 (1.東北大学 東北メディカル・メガバンク機構, 2.福島県立医科大学附属病院 臨床腫瘍センター/遺伝診療部, 3.金沢医科大学医学部生化学 I, 4.東北大学大学院医学系研究科 医学教育推進センター, 5.福島県立医科大学 病理病態診断学講座, 6.金沢医科大学 総合医学研究所 生命科学研究領域, 7.信州大学医学部遺伝医学教室)
【背景・目的】卒前医学教育において修得すべき基本的事項をまとめた教育内容ガイドラインとして「医学教育モデル・コア・カリキュラム」が示されており、平成28年度改訂版より「E-1遺伝医療・ゲノム医療」が追加されたが、各大学医学部での教育内容の標準化はこれからの課題である。我々は「遺伝医療・ゲノム医療」の教育内容を標準化するために貢献できる教育プログラムを制作した。【方法】「E-1 遺伝医療・ゲノム医療」の学修目標、1)集団遺伝学の基礎としてHardy-Weinbergの法則を概説できる、2)家系図を作成、評価(Bayesの定理、リスク評価)できる、3)生殖細胞系列変異と体細胞変化の違いを説明でき、遺伝学的検査の目的と意義を概説できる、4)遺伝情報の特性(不変性、予見性、共有性)を説明できる、5)遺伝カウンセリングの意義と方法を説明できる、6)遺伝医療における倫理的・法的・社会的配慮を説明できる、7)遺伝医学関連情報にアクセスすることができる、8)遺伝情報に基づく治療や予防をはじめとする適切な対処法を概説できる、を1時限で網羅できる医学教育プログラムを制作した。映像資材を含む本プログラムの講義スライドを用いて「E-1 遺伝医療・ゲノム医療」の授業を4大学の医学部医学科1~2年生で実践し、受講前後の質問紙調査と講義中の発言内容により、本プログラムの教育効果を評価した。【結果】いずれの大学での受講生においても、映像資材「知ること、知らないこと~遺伝子を調べることで生じることとは?~」で伝えようとしている学修目標、4)遺伝情報の特性、2)家系図の作成、で一律に理解度が高まっていた。事前の「E-1 遺伝医療・ゲノム医療」に対する習熟度の自己評価に影響されずに、本プログラムによって「遺伝医療・ゲノム医療」に関する一定の知識を得られる傾向が認められた。【考察】本プログラムが全国の大学医学部講義で活用されるような普及活動を展開していく方針である。