講演情報

[O33-5]Stengel-Rutkowski法を用いた不均衡型転座をもつ児が生まれる確率推定の自動化、ウェブアプリケーション化の試み

稲木 誠1, 馬場 剛2, 尾崎 守3, 倉橋 浩樹4, 遠藤 俊明1,2,5 (1.さっぽろ不育症・着床障害コンソーシアム, 2.札幌医科大学産婦人科, 3.金沢医科大学総合医学研究所先端医療研究領域ゲノム疾患研究分野, 4.藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門, 5.エナ麻生ARTクリニック)
【背景・目的】Stengel-Rutkowski法とは不均衡型転座で生まれた児の1120家系で不均衡型転座断片を解析した結果に基づいて、全妊娠(流産、死産、早期死亡を含む)の中で不均衡型転座をもって生まれる児の確率を推定する方法である。方法に関する原著(Stengel-Rutkowski, 1988)は入手困難であり、Gardner and Sutherlandのテキスト”Chromosome abnormalities and genetic counseling”に掲載されているリスク表に基づいて一例ずつ複雑な計算を手作業で行うのが通例となっている。Stengel-Rutkowski法と類似の方法としてHC Forum(Cohen, 2001)があり、インターネットに公開されたが現在は閉鎖されアクセスができない状態となっている。本研究の目的は、複雑な計算を要するStengel-Rutkowski法の自動化ならびにそのツールのウェブアプリケーション化を行うことである。【方法】目的の切断点を表計算ソフトに入力すると前述のリスク表の値を引用し、Single-segment imbalanceかDouble-segment imbalanceかどうかの判断後、隣接I型分離・隣接II型分離・3:1分離のリスクを足したOverallリスクが自動計算できるようにプログラミングし、その自動化リスク計算プログラムをウェブアプリケーション化した。【結果・考察】原著やその他論文等で実際に計算された相互転座症例のリスク計算結果と比較し、本方法の有用性を評価した。その結果、手計算ではエキスパートでさえ10分ほどかかっていた計算が、本アプリケーションを使えば10秒もかからず自動計算され、かつ遺伝カウンセリングに使えると考えられる各分離様式のリスク計算資料も同時に生成できた。本アプリケーションは、PGT-SRの遺伝カウンセリングに有用なツールになると考えられる。