講演情報
[O7-3]当院においてY染色体AZF領域微小欠失検査を施行した男性不妊患者についての検討
○逸見 博文1, 濱口 大志1, 岩城 豊1, 池田 詩子1, 遠藤 俊明1, 町野 倫太郎2 (1.国家公務員共済組合連合会 斗南病院 婦人科・生殖内分泌科, 2.国家公務員共済組合連合会 斗南病院 泌尿器科)
【目的】無精子症患者の8~12%、高度乏精子症患者の3~7%においてY染色体長腕遠位側にazoospermia factor(AZF)領域微小欠失が認められると報告されている。我々は当院においてAZF領域微小欠失検査を施行した男性不妊症例について検討したので報告する。【対象と方法】2018年から現在まで当院婦人科・生殖内分泌科を受診し、Y染色体AZF領域微小欠失検査を施行し、遺伝カウンセリングを行った無精子症13例、乏精子症2例を対象とし、染色体異常の内容、治療成績などについて検討した。【結果】無精子症9例と乏精子症1例でAZF領域微小欠失を認めた。全例AZFc部分欠失でgr/gr欠失9例、b2/b3 1例であった。遺伝カウンセリングではAZFc部分欠失の場合には精巣内精子回収術(TESE)により精子回収できる可能性があること、精子が回収できた場合に体外受精―顕微授精が必要となること、男児を得た場合に100%遺伝することなどについて説明した。遺伝カウンセリング後に12例でNeedle TESE施行し、3例で精子回収した。Needle TESEで精子回収できなかった3例にMD-TESEを施行したが、精子回収できなかった。Gバンド染色体検査は14例が46XYであったが、1例はAZFc部分欠失を伴う47XXYで両側精巣容量2ccと小さく、FSH 42.14と高値であったため、初めから高次医療機関でのTESEをすすめた。【考察】無精子症、高度乏精子症の場合にはY染色体微小欠失の可能性も考慮し、TESEにより精子回収できる可能性の有無、児への伝搬リスクについて適切なカウンセリングを行い、治療方針を立てる必要がある。