講演情報
[O7-5]当センターにおけるモザイク胚移植後の周産期転帰について
○東 裕福1, 佐々木 愛子1, 森田 泰介1, 荒井 智大1, 藤野 佐保1, 藤部 佑哉1, 海野 沙織1, 小西 晶子1, 梶原 一紘1, 金子 佳代子4, 室本 仁2, 鈴木 朋1, 小川 浩平1, 赤石 理奈1, 杉林 里佳2, 網田 光善3, 小澤 克典2, 和田 誠司2, 左合 治彦1,2 (1.国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 産科, 2.国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 胎児診療科, 3.国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 不妊診療科, 4.国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科)
【目的】反復着床障害,反復流産既往のカップルを対象に,着床前胚染色体異数性検査(Preimplantation genetic testing for aneuploidy: PGT-A)の有用性を検討する多施設共同研究が日本産科婦人科学会主導で行われている。PGT-Aでは染色体異数性のある細胞とない細胞が混在したモザイク胚が認められることがあり、その移植についてはPreimplantation Genetic Diagnosis International Society: PGDISより一定の見解は出されているものの、妊娠転帰についての報告は少ない。本研究ではモザイク胚移植後に当センターで周産期管理した症例の転帰を明らかにすることを目的とした。【結果】2021年の1年間に当センターで周産期管理したモザイク胚移植後妊娠は11例で、7例が分娩となり、4例が妊娠継続中であった。移植胚のモザイク頻度は、1例のみが高頻度モザイク胚であった。妊娠後に侵襲的出生前遺伝学的検査を受けたのは5例で、羊水検査でのGバンド法が4例、1例でSNPアレイ検査を行った。この5例において全例とも胚に見られたモザイク所見を含めた染色体異常を認めなかった。分娩となった7例のうち1例において指趾の微細な形態異常を認めたが、モザイクとの関連は否定的で、妊娠中の4例においても現在のところ明らかな胎児異常を認めていない。【考察】栄養外胚葉(trophectoderm: TE)細胞にモザイクを認めても、児に同じモザイクがあることは少ないとされ当センターの11例においても同様の傾向であった。しかしながら、本邦における症例報告は少なく今後さらなる症例の蓄積が必要である。【結語】現在のところモザイク胚移植後の妊娠において胎児や出生した児にPGT-Aの結果に関連する先天性異常は認めなかった。