講演情報

[O8-2]遺伝性乳癌卵巣癌症候群遺伝学的検査保険適応後の遺伝カウンセリングの状況

青柳 智義, 岩田 可奈恵, 南村 真紀, 松崎 弘志 (船橋市立医療センター)
【背景と目的】2020年に遺伝性乳癌卵巣癌症候群HBOC に関連する遺伝学的検査などが追加保険収載され、遺伝学的検査数は当院では増加傾向にある。遺伝カウンセリング件数も同様に増加傾向であるものの、遺伝学的検査施行例のすべてには介入できていない。今回当院での遺伝学的検査と遺伝カウンセリングにつき検討した。【対象と方法】2018年から2022年5月までに当院で行われたBRCA1/2遺伝子の遺伝学的検査を受けた乳癌患者を対象とし、BRCA1/2遺伝子の遺伝学的検査数、検査の目的の内容、病的バリアント数、遺伝学的検査施行例中の遺伝カウンセリング受診数と検査目的での介入数について検討した。【結果】BRCA1/2遺伝子の遺伝学的検査を行ったものは137例で、検査目的に関してはHBOC目的の検査は71例、コンパニオン診断目的は66例であった。病的バリアントは7例であった。遺伝学的検査を行った中で遺伝カウンセリングを行ったものは60例であった。検査目的の内訳はHBOC目的では71例中51例(72%)で遺伝カウンセリングを行い、コンパニオン診断で施行されたのは66例中9例(14%)であった。【考察】以前はコンパニオン診断が遺伝学的検査の目的としては主なものであったが、保険適応追加以後はその検査目的がHBOC関連の増加している。当院では遺伝学的検査を行う前に主治医より検査説明を行っているが、必要に応じて遺伝カウンセリングを行っている。コンパニオン診断施行例での遺伝カウンセリングの割合が少ないのは、検査目的が治療法の追加に重きが置かれた結果と考えられた。遺伝学的検査を行う前に全例に遺伝カウンセリングを行うことが理想ではあるが、環境的に施行できないことも多い。問題となる症例を拾い上げ、遺伝カウンセリングに導かなくてはならない。