講演情報
[O9-2]遺伝性疾患に関する本人への情報開示(告知):疾患のある本人を対象とした調査
○金子 実基子1, 大場 大樹2, 大橋 博文2 (1.東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部, 2.埼玉県立小児医療センター 遺伝科)
多くの親が、いつどのように遺伝性疾患をもつ子どもに疾患情報を開示(告知)するかという課題に直面する。しかし、その疾患情報開示の実態を調べた研究はほとんどない。そこで、2019年に「遺伝性疾患に関する本人への情報開示(告知)のあり方について」と題して質問紙による調査を疾患をもつ児の親を対象に実施した。それに続き、遺伝性疾患をもつ本人自身を対象にした調査を行ったので報告する。【方法】2019年の先行研究で情報開示を受けていた者67名のうち10才以上の59名を対象に質問紙調査((2021年12月~2022年1月)を行った。【結果】回答数は29件(回収率49%)だった。回答者は、本人のみで回答が10件、母と一緒にが16件、父と一緒にが2件、両親と一緒にが1件だった。回答者の内訳は22q11.2欠失症候群が6/9件(67%)、Beckwith-Widemann症候群5/13件(38/%)、Noonan症候群2/4件(50%)、歌舞伎症候群5/9件(56%)、Williams症候群6/10件(60%)、Prader-Willi症候群5/13件(38%)、Sotos症候群0/1件(0%)であった。疾患、症状、健康管理、通院理由については、半分以上がだいたい知っている・全部知っていると回答し、遺伝については半分以上が全く知らない・ちょっとしか知らないと回答した。日々の生活、症状、通院、将来のことに不安を感じない・少ししか感じないは、それぞれ21件(72%)、19件(66%)、23件(79%)、13件(45%)だった。また、いつごろ知りたいかについては就学前や小学生時代と、なるべく早いうちに知りたい傾向がみられた 。【結語】本研究を遺伝性疾患をもつ本人へのより良い疾患情報の伝え方の検討につなげたい。