講演情報
[O9-5]模擬遺伝カウンセリングにおける共感に関する経験-グラウンデッド・セオリー研究-
○友澤 周子1,2, 金子 実基子3, 佐々木 元子1,4, 三宅 秀彦1,4 (1.お茶の水女子大学 人間文化創成科学研究科 ライフサイエンス専攻, 2.国立がん研究センター東病院 遺伝子診療部門, 3.東京慈恵会医科大学附属病院 遺伝診療部, 4.お茶の水女子大学 ヒューマンライフサイエンス研究所)
【背景】遺伝カウンセリング(GC)において、共感的理解は関係性の構築と課題の発掘に重要と考えられている。クライエント(Cl)側から捉えられた共感に関する臨床心理学の研究では、Cl側に自己理解の増進があること、また共感的に理解された認識をもたらす要素として安心や信頼感の存在が示されている。GC研究においてCl側の被共感に着目した調査は少ない。本研究ではClの被共感体験を明らかにすることを目的として質的探索的研究を行った。
【方法】認定遺伝カウンセラー(CGC役)と大学院生(Cl役)が参加したオンライン模擬GCにおいて、対人プロセス想起法(IPR:本研究では模擬GC直後に対象者とセッションの動画を視聴しながら振り返る)を用いたインタビューを行った。得られたCl、CGC各々の逐語録をグラウンデッド・セオリー(Charmaz, 2014)の手法を用いて分析した。
【結果】2021年4月から2022年1月、計10回のオンライン模擬GCを実施し、Cl役10名、CGC5名にオンラインIPRインタビューを行った。分析の結果、Clの被共感体験は主に<CGCの投げかけによって気づきを得て考える>、<CGCの問いかけや応答で気持ちをほぐされる>体験により構成されていた。プロセスの前後には<自分自身の思いとわからなさ>から<土台を固めて道が見えてくる>への体験があり、情報の受け取りを契機とした感情と思考の変化も存在した。
【考察】本研究の結果は、安心や信頼が被共感の要因とする先行研究を支持するものであった。本プロセスに含まれる<気づきを得て考える>ことは先行研究における「自己理解」の概念のヴァリエーションと考えられた。さらに、「情報」のやり取りを間に挟んだ多くの体験の存在から、提供情報の適切性と満足度が被共感体験に寄与するという仮説が導き出された。これらの仮説の検証にはさらなる追加の調査が必要である。
【方法】認定遺伝カウンセラー(CGC役)と大学院生(Cl役)が参加したオンライン模擬GCにおいて、対人プロセス想起法(IPR:本研究では模擬GC直後に対象者とセッションの動画を視聴しながら振り返る)を用いたインタビューを行った。得られたCl、CGC各々の逐語録をグラウンデッド・セオリー(Charmaz, 2014)の手法を用いて分析した。
【結果】2021年4月から2022年1月、計10回のオンライン模擬GCを実施し、Cl役10名、CGC5名にオンラインIPRインタビューを行った。分析の結果、Clの被共感体験は主に<CGCの投げかけによって気づきを得て考える>、<CGCの問いかけや応答で気持ちをほぐされる>体験により構成されていた。プロセスの前後には<自分自身の思いとわからなさ>から<土台を固めて道が見えてくる>への体験があり、情報の受け取りを契機とした感情と思考の変化も存在した。
【考察】本研究の結果は、安心や信頼が被共感の要因とする先行研究を支持するものであった。本プロセスに含まれる<気づきを得て考える>ことは先行研究における「自己理解」の概念のヴァリエーションと考えられた。さらに、「情報」のやり取りを間に挟んだ多くの体験の存在から、提供情報の適切性と満足度が被共感体験に寄与するという仮説が導き出された。これらの仮説の検証にはさらなる追加の調査が必要である。