講演情報
[P1-2]正常多型と考えられたSHOX遺伝子を含むXp端部重複
○河村 理恵1, 近藤 恵美2, 宮井 俊輔1, 成 悠希1, 深見 真紀3, 稲垣 秀人1, 倉橋 浩樹1 (1.藤田医科大学 医科学研究センター 分子遺伝学研究部門, 2.産業医科大学病院 産婦人科学, 3.国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部)
【はじめに】SHOX遺伝子の重複は,骨格系の表現型と関連づけられた報告もあるが,まだ詳細は解明されていない.今回,重度の胎児発育不全を認めた症例に,SHOX遺伝子を含むXp端部重複を同定したので報告する.
【症例】41歳,3妊0産(2回初期流産),2型糖尿病・高血圧合併妊娠.妊娠21週,推定体重210g,胎児-胎盤循環不全あり.妊娠25週1日から臍帯動脈血流逆流を認め,羊水量減少傾向.胎児機能不全,胎児発育不全,重症妊娠高血圧症候群の診断にて,妊娠27週0日に帝王切開分娩.出生体重331gの男児,外表奇形は認めなかった.
【方法と結果】臍帯血によるG分染は正常であった.SNPマイクロアレイ解析の結果,Xpの末端部から約400kbの重複(PLCXD1,GTPBP6,PPP2R3B,SHOX遺伝子)が同定された.常染色体のUPDについては,アイソダイソミーおよびヘテロダイソミーともに認めなかった.SHOX遺伝子の機能異常が重度の胎児発育不全に影響している可能性を考え,SHOX遺伝子を詳細に解析した結果,MLPAにおいてエクソン3までが重複していた.両親解析の結果,児に見られたXp重複が,無症状の母親にも認められた.Xp重複領域のFISH解析の結果,シグナルはXpのみに検出され,転座等の構造異常は認められなかった.母親のHUMARAでは,X染色体不活化の偏りは認めなかった.数カ所から採取した胎盤の染色体は正常であった.
【考察】以上から,Xp末端からSHOX遺伝子のエクソン3までの領域がタンデムに重複していることが示唆された.また,患児,母親ともにXp重複が見られたことから,Xp端部重複は表現型に影響しない「正常多型」として存在することが考えられた.
【症例】41歳,3妊0産(2回初期流産),2型糖尿病・高血圧合併妊娠.妊娠21週,推定体重210g,胎児-胎盤循環不全あり.妊娠25週1日から臍帯動脈血流逆流を認め,羊水量減少傾向.胎児機能不全,胎児発育不全,重症妊娠高血圧症候群の診断にて,妊娠27週0日に帝王切開分娩.出生体重331gの男児,外表奇形は認めなかった.
【方法と結果】臍帯血によるG分染は正常であった.SNPマイクロアレイ解析の結果,Xpの末端部から約400kbの重複(PLCXD1,GTPBP6,PPP2R3B,SHOX遺伝子)が同定された.常染色体のUPDについては,アイソダイソミーおよびヘテロダイソミーともに認めなかった.SHOX遺伝子の機能異常が重度の胎児発育不全に影響している可能性を考え,SHOX遺伝子を詳細に解析した結果,MLPAにおいてエクソン3までが重複していた.両親解析の結果,児に見られたXp重複が,無症状の母親にも認められた.Xp重複領域のFISH解析の結果,シグナルはXpのみに検出され,転座等の構造異常は認められなかった.母親のHUMARAでは,X染色体不活化の偏りは認めなかった.数カ所から採取した胎盤の染色体は正常であった.
【考察】以上から,Xp末端からSHOX遺伝子のエクソン3までの領域がタンデムに重複していることが示唆された.また,患児,母親ともにXp重複が見られたことから,Xp端部重複は表現型に影響しない「正常多型」として存在することが考えられた.