講演情報
[P15-10]マイクロサテライト不安定性検査からのリンチ症候群の拾い上げに関する検討
○福島 久代1,2, 高 丹1, 鎌倉 靖夫1, 三原 良明2, 福元 剛2, 堀田 洋介2, 廣中 秀一2, 濱口 哲弥1,2 (1.埼玉医科大学国際医療センター がんゲノム医療科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 腫瘍内科・消化器腫瘍科)
【背景】マイクロサテライト不安定性(MSI)検査は、リンチ症候群の2次スクリーニングとして用いられる検査であるが、2018年12月に固形癌におけるペムブロリズマブのコンパニオン診断として保険収載され、さらに昨年結腸・直腸癌において適応が拡大したことから、治療薬の選択を目的とした検査が増加している。一方で、MSI-highを示す癌のうちの約15%、大腸癌では20-30%がリンチ症候群であることが報告されており、MSI-high症例に対してはリンチ症候群の可能性を考慮し、拾い上げを実施できる体制の整備が求められている。
【方法】当院におけるMSI検査の実績と、消化器腫瘍におけるMSI-high症例からのリンチ症候群拾い上げの実施状況を電子カルテの記載内容から検討した。
【結果と考察】2018年12月から2022年5月までの期間のMSI検査数は 585症例(コンパニオン診断目的)、6症例(リンチ症候群スクリーニング目的)であり、診療科別では、消化器腫瘍科が63%、婦人科腫瘍科が15%を占めた。MSI-highと判定された症例は31症例で、全体の陽性率は5.2%であった。消化器におけるMSI-high 14症例は、年齢、発症部位等の臨床情報、また大腸癌の場合はBRAFV600E変異の有無を検討した。その結果リンチ症候群の可能性が考慮され、かつ同意が得られた3症例について、遺伝カウンセラーが情報提供を行い、遺伝学的検査を実施したところ、2症例がリンチ症候群と診断された。今後、コンパニオン診断の対象の拡大、検査方法へのMMR-IHCの追加、さらにがん遺伝子パネル検査の普及などにより、MSI-highやMMR欠損が検出される症例が増加することが予想される。これらの検査結果からリンチ症候群をはじめとした遺伝性腫瘍患者を拾い上げるには、患者へ疾患に関する情報と確定診断の機会を提供するため、遺伝学的検査の実施体制と遺伝カウンセリング窓口の整備が必要であると考えられた。
【方法】当院におけるMSI検査の実績と、消化器腫瘍におけるMSI-high症例からのリンチ症候群拾い上げの実施状況を電子カルテの記載内容から検討した。
【結果と考察】2018年12月から2022年5月までの期間のMSI検査数は 585症例(コンパニオン診断目的)、6症例(リンチ症候群スクリーニング目的)であり、診療科別では、消化器腫瘍科が63%、婦人科腫瘍科が15%を占めた。MSI-highと判定された症例は31症例で、全体の陽性率は5.2%であった。消化器におけるMSI-high 14症例は、年齢、発症部位等の臨床情報、また大腸癌の場合はBRAFV600E変異の有無を検討した。その結果リンチ症候群の可能性が考慮され、かつ同意が得られた3症例について、遺伝カウンセラーが情報提供を行い、遺伝学的検査を実施したところ、2症例がリンチ症候群と診断された。今後、コンパニオン診断の対象の拡大、検査方法へのMMR-IHCの追加、さらにがん遺伝子パネル検査の普及などにより、MSI-highやMMR欠損が検出される症例が増加することが予想される。これらの検査結果からリンチ症候群をはじめとした遺伝性腫瘍患者を拾い上げるには、患者へ疾患に関する情報と確定診断の機会を提供するため、遺伝学的検査の実施体制と遺伝カウンセリング窓口の整備が必要であると考えられた。