講演情報
[P15-6]当院におけるBRACAnalysis診断システムの運用に関する取り組み
○林 信孝1, 浦川 優作2, 今村 裕子1, 吉岡 信也1 (1.神戸市立医療センター中央市民病院 産婦人科, 2.神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科)
保険診療におけるBRCA1/2遺伝子の遺伝学的検査は,PARP阻害薬のコンパニオン診断検査および遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診断検査として,当院でも関連診療科において実施されている.当院では,本邦のSRL社を介して,米国のMyriad社に外注検査として検査を依頼している.検査オーダーに際しては専用サイトで入力,結果に関しては専用ポータルサイトにログインして確認および出力が必要となっており,通常の外注検査と比較して,検査の依頼から結果の診療録への反映までのプロセスが煩雑である.また検査結果がVUS(臨床的意義不明のバリアント)の場合には,将来的に同定されたバリアントの臨床的意義が明らかになった際に結果が変更となる可能性があり,検査結果を確実に被検者に伝達できる体制を整備する事は重要であると考える.当院では従来,検査依頼から検査結果の診療録への反映までのプロセスを各診療科の担当医において実施していた.従来の運用においては,担当医の異動などにより,バリアントの解釈が変更となりメールで報告があった際に被検者へ検査結果を返却できない可能性があるなど,医療安全上の観点から改善が必要と考えられた.抄録作成時点においては,院内の関係診療科,臨床検査技術部,医療安全部門などと協議を行い,院内での運用を改善させる議論を開始する方針である.発表においては,問題提起の意味も込めて,当院での運用の変更点も含め報告させて頂く予定である.BRCA1/2遺伝子の遺伝学的検査の結果については,被検者のみならず,その血縁者にも意義を有する重要な遺伝学的情報であると考えられ,被検者の不利益にならないような検査実施体制を検討および構築する事が,検査実施施設の責務と考える.