講演情報

[P16-10]双胎妊婦の出生前検査希望の動向について

田嶋 敦, 松島 実穂, 竹森 聖, 佐藤 泰紀, 友澤 周子, 中野 紗弓, 谷垣 伸治, 小林 陽一 (杏林大学 医学部 産科婦人科)
【目的】双胎妊娠は様々な合併症を伴うハイリスク妊娠であるが、生殖補助医療(以下ART)による妊娠や高年妊娠が多く、出生前検査を希望する場合が多いとされている。近年母体血胎児遺伝学的検査(以下NIPT)の普及に伴い、出生前検査を希望する妊婦が増加する傾向にあるが、双胎に特有な問題もあり双胎の出生前遺伝カウンセリングは難易度が高くなる。当院では2017年より双胎に対してもNIPTを施行しており、今回当院で周産期管理を行った双胎妊婦の出生前検査希望の動向に関して検討した。【方法】2017年1月から2021年12月までの5年間に当院で分娩となった双胎妊娠のうち、妊娠20週未満から当院で管理していた202例を対象とした。診療録から年齢、ARTの有無、膜性診断、出産歴、出生前検査の施行の有無、その種類を抽出し後方視的に検討した。【成績】出生前検査を希望した妊婦は24例(11.9%)で、11例がNIPT、2例がNT計測を含めた初期超音波、5例が最初から羊水検査を施行した。6例はカウンセリングのみで検査は受けなかった。出生前検査を希望した妊婦と希望しなかった妊婦の比較では、出産年齢(37.3歳、33.4歳)とART後妊娠の割合に有意差を認め(50.0%、29.2%)、初産(70.8%、56.4%)と一絨毛膜二羊膜双胎(以下MD)率(45.8%、31.7%)は有意差を認めなかった(p<0.05)。NIPTの結果は全て陰性であり、羊水検査の結果はMDの1例が21トリソミーの診断となり、妊娠中断を選択された。【結論】双胎の出生前検査希望者は高年妊娠やART後妊娠が多いが、単胎と異なり2卵性の場合に1児のみに異常を認めた場合の対応やMDに特有な病態といった特殊な情報提供が必要となる。情報提供を受けた妊婦の中にはトリソミーのみが対象となるNIPTや、侵襲性のある検査を敬遠したと考えられ、適切な情報提供が重要と思われた。