講演情報
[P16-12]出生前検査における核型分析と染色体マイクロアレイの選択について
○福田 冬馬1, 大越 千弘1, 植田 牧子2, 村田 強志1, 安田 俊1, 渡邉 尚文1 (1.福島県立医科大学 医学部 産科婦人科学講座, 2.竹田綜合病院 産科婦人科)
【目的】米国産婦人科学会では、形態異常を有する胎児の染色体検査として、マイクロアレイ検査(Chromosomal Microarray: CMA)が推奨されている。2021年には日本産科婦人科学会においても、「胎児に形態異常を認める場合、染色体核型分析に加えて、あるいは代わりに CMAの実施を考慮する」とされた。しかし、CMAは高額な検査であるため、胎児の染色体検査を希望しながらもCMAに踏み切れない患者が多いと感じる。そこで私たちは、形態異常の種類や数によって、コストの観点から効率的な出生前検査が提案できるかどうかを検討した。
【方法】2008年から2021年までに、胎児形態異常を適応に当院で核型分析を実施した症例を後方視的に検討した。
【結果】期間内に393例の核型分析が行われ、胎児形態異常を適応とした症例は84例であった。形態異常としては心臓33例、中枢神経26例、消化管22例(重複あり)の順に多く、38例で胎児発育不全を合併していた。多発奇形は38例で認められた。37例で染色体異常(21トリソミー5例、18トリソミー22例、13トリソミー4例、その他6例)を認め、47例は正常核型であった。心奇形を有する23例、中枢神経を有する17例、胎児発育不全を合併する22例では、核型分析で染色体異常が検出された。心臓や中枢神経の奇形と比較して、それ以外の奇形では核型異常の検出割合は低かった(57.1% vs. 26.2%)。また、多発奇形の25例では核型分析で染色体異常が検出され、単発奇形と比較して有意に多かった(65.8% vs. 21.7%)。
【結語】心臓や中枢神経の奇形で、特に胎児発育不全の合併例や多発奇形の例にはまず核型分析を提案し、その他の奇形においてはCMAのみの実施を提案すると、コストの観点から効率的な出生前検査が提案できると考えた。この結果は、本検討の染色体異常症例に18トリソミーが多いことに起因していると思われ、本検討のLimitationである。
【方法】2008年から2021年までに、胎児形態異常を適応に当院で核型分析を実施した症例を後方視的に検討した。
【結果】期間内に393例の核型分析が行われ、胎児形態異常を適応とした症例は84例であった。形態異常としては心臓33例、中枢神経26例、消化管22例(重複あり)の順に多く、38例で胎児発育不全を合併していた。多発奇形は38例で認められた。37例で染色体異常(21トリソミー5例、18トリソミー22例、13トリソミー4例、その他6例)を認め、47例は正常核型であった。心奇形を有する23例、中枢神経を有する17例、胎児発育不全を合併する22例では、核型分析で染色体異常が検出された。心臓や中枢神経の奇形と比較して、それ以外の奇形では核型異常の検出割合は低かった(57.1% vs. 26.2%)。また、多発奇形の25例では核型分析で染色体異常が検出され、単発奇形と比較して有意に多かった(65.8% vs. 21.7%)。
【結語】心臓や中枢神経の奇形で、特に胎児発育不全の合併例や多発奇形の例にはまず核型分析を提案し、その他の奇形においてはCMAのみの実施を提案すると、コストの観点から効率的な出生前検査が提案できると考えた。この結果は、本検討の染色体異常症例に18トリソミーが多いことに起因していると思われ、本検討のLimitationである。