講演情報

[P16-2]出生前検査陽性妊婦とそのパートナーの医療と支援体制についての全国調査:医療機関を対象にしたアンケート調査

宮上 景子1, 和泉 美希子2, 池本 舞1, 清野 仁美3, 山田 崇弘4, 奥山 虎之5, 澤井 英明6, 左合 治彦7, 関沢 明彦1, 白土 なほ子1 (1.昭和大学 医学部 産婦人科, 2.昭和大学病院 臨床遺伝医療センター, 3.兵庫医科大学 精神科神経科学講座, 4.京都大学医学部附属病院遺伝子診療部/倫理支援部, 5.埼玉医科大学 ゲノム医療科 希少疾患ゲノム医療推進講座, 6.兵庫医科大学 産婦人科学講座, 7.国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター)
【目的】出生前検査について社会的に理解される検査体制と充実した妊婦の支援体制の構築を目的に、出生前検査の結果で異常を認めた場合の対応状況を調査した。【方法】出生前検査を提供している医療施設を対象に、分娩の有無、出生前検査の提供内容、出生前検査で妊娠22週未満で胎児に異常を認めた症例(陽性と表現)における、妊娠継続あるいは妊娠中断を選択した場合の対応、またその意思決定に関わる支援内容についてアンケートを実施した。尚、本研究は成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「出生前検査に関する妊産婦等の意識調査や支援体制構築のための研究」の一部である。【結果】調査を590施設に行い、316施設(53.6%)から回答を得た。282施設(89%)が分娩扱い、NIPT認可施設は80施設(25%)、陽性症例に222施設が対応していた。陽性症例への妊娠中断を自施設で対応、症例により対応とした施設は199施設(89%)あった。陽性症例で妊娠継続が選択された場合の対応として、80%以上で院内カンファ・症例共有、小児科との連携、行政紹介が、50%以上でペリネイタルビジット、書籍・パンフ紹介、NICU見学、患者当事者会紹介、精神科紹介が行われていたが、特別な対応のない施設も15%認めた。妊娠中断の場合、産後の助産師面談が88%、症例により精神科・心療内科医師の診察は42%、ピアカウンセリングの紹介は30%の施設で行われていた。認定遺伝カウンセラーは41%の施設で在籍し陽性症例への対応に81%が関わっていた。【結論】出生前検査陽性症例の妊娠継続例には多くの施設で様々な支援が実施されていることが明らかになった。また妊娠中断の場合も産後に助産師面接を始め、精神科・心療内科医師による診察も行われており、継続した支援が行われていることが伺われた。今後はこれらの具体的な内容を明らかにし、出生前検査を検討している妊婦に対して社会的にも理解されやすい支援体制を構築することが課題と思われた。